スリランカで日本法人の支店や現地法人を立ち上げると、それに引き続いて銀行口座の開設を行うことになりますが、そこでよく聞くのがIIAという言葉です。
現地では常識なのですが、他国にはあまり存在しないこのIIAについて、本日はお伝えします。
IIAとは
まずは定義から見ていきましょう。
「IIA（Inward Investment Account）」は、直訳すれば「（外国資本の）国内向け投資用口座」というもので、外国の個人、法人がスリランカでの事業のために投資する場合に解説される口座です。
これは、普通預金（Ordinary Account）や当座預金（Current Account）と異なり、一般の国内送金や金銭の受け取りのためには利用することができない、投資のためだけの口座です。
また、現地法人など、投資を受ける企業（例えば、スリランカ法人）の名義ではなく、投資を行う個人または法人（例えば、日本法人）の名義で開設されるものである点にも注意が必要です。
利息の付かない口座である点、当座預金と同じですが、国内事業で使うための資金をスリランカで受け取り、それを国内事業（法人・支店など）の銀行口座に送金するためだけに用いられる口座です。
IIAはどんな銀行で開設できるのか
IIAは、口座の使われ方が異なるだけで、機能としては当座預金と同じであるため、スリランカで活動する主な銀行であれば、スリランカ地場の銀行であるか否かによらず、開設が可能です。
外国資本からスリランカ国内事業に資金調達することを連絡すれば、現地の銀行であればIIAの開設であると理解して手続きに入れます。
また、スリランカの銀行では他にも、証券投資口座（Securities Investment Account：SIA）や特別外国資本預金口座（Special Foreign Investment Deposit Accounts：SFIDA）という特別口座が一般に利用されますが、こうした口座をIIAに切り替えることも多くの銀行で可能とされています。
IIAはなぜ必要なのか
スリランカは、資金の移動が比較的自由にできるシンガポールなどと異なり、金銭の移動には逐一中央銀行（The Central Bank of Sri Lanka：CBSL）の認可が必要になります。
特に、国外からの入金に関してはスリランカルピー（LKR）、アメリカドル（USD）などどの通貨でも実行が可能ですが、スリランカ国内から国外への送金は、原則として許可されません。
従って、スリランカ現地法人に投資する場合、または日本法人のスリランカ支店に資金を送る場合も、国外からの送金に関しては問題なく許可されますが、そのお金を国外への戻すことは原則不可能になります。
そこで登場するのがIIAです。
送金される金銭の用途が明確化されることにより、中央銀行CBSLの認可を受けて国外送金を可能にする機能があります。
具体的にはいつIIAを使うのか
上述の通り、スリランカ現地法人に投資する場合、または外国法人のスリランカ事務所（支店など）に送金する場合、そのお金が最終的に国外に戻されることを念頭に置くのであれば、IIAの口座を開設して利用することになります。
その他、スリランカ事業に対してローンを行う場合も、利息の支払いや満期での返済に際して、送金できなくなるという事態を防ぐため、IIAの口座に送金する必要が出てきます。
更に、スリランカ現地法人から株主への配当の送金、自社株式の買戻しを実行する際なども、国外への送金が必要になるのであれば、IIAを利用します。
最後に、スリランカ現地法人を清算して、資本金残額を株主へ返金する際にも、IIAがなければ送金を実行することができない、という点に注意が必要です。
以上、スリランカ事業への資金調達に欠かせない、IIA口座について見てきました。
他の国とは少し異なる銀行の常識があることを理解して、無理のない投資を実現させていきましょう。
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参照：
https://lesokumar.medium.com/inward-investment-account-iia-key-things-you-need-to-know-e6cefc26fddd
https://www.combank.lk/newweb/en/non-resident/investments/inward-investment-accounts-iias
https://www.sampath.lk/en/personal/foreign-currency-accounts/inward-investment-account
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近藤貴政
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