Q&A地域統括会社の実態

投資環境・経済

皆さん、こんにちは。シンガポール駐在員の岩城です。

Q. シンガポールに拠点を設け、将来的にはASEAN地域の統括拠点にしたいと思っています。シンガポールの低税率を利用した税務戦略を考えたいというのが一番の理由ですが、何に留意する必要があるのでしょうか。

A.
 シンガポールへの進出を検討する企業が、シンガポールの低税率を活用しようとするのは、よくある話だと思います。ただ、低税率を利用するためには、ある程度の利益が出ていることが前提であるということを忘れてはなりません。
 シンガポールは設立が容易であり、税率も低いという理由で、安易に進出の意思決定をしてしまうのは、非常に危険です。国内でビジネスを行う上でも当然ですが、シンガポールでの事業計画を入念に作り込む必要があるでしょう。

 例えば、既にシンガポール進出している企業において、地域統括を目指す上で問題になりやすいのは、他ASEAN拠点、日本本社とのコミュニケーション不足です。シンガポールとしては、他のASEAN全体の利益をシンガポールにプールすることで、シンガポールを中心とした国際税務戦略を考えているのかもしれませんが、他の拠点においては、自国であげた利益を吸い上げられることに強い抵抗感を覚えてしまいます。これは、ASEANという地域だけでなく、企業全体で取り組む必要がある問題です。

 現状、シンガポールの低税率を活かしきれている企業は少ないかと思います。本社機能としては、一定の意思決定を任せているかもしれませんが、絶対的なものではないため、当初目指していたものとは異なっているのかもしれません。
ただ、やはりシンガポールはASEANの中心であり、メリットを活かしきる事ができれば、大きな企業利益をもたらすことにもつながるでしょう、

 既にシンガポールに進出している企業も、これからの企業も、今一度シンガポールのメリットを活かす戦略を図る必要があると思います。

以上

Tokyo Consulting Firm Co. Pte. Ltd.,
岩城 徳朗(iwaki noriaki)

 

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2019-10-23

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