2019年11月29日、Facebookでの投稿が、シンガポール政府によって訂正を求められる事件が起きました。
主に、選挙での不正などを記述したオーストラリア人の投稿に関するもので、Facebook側は訂正通知を行いましたが、こうした国家からの表現の統制は慎重に運営されるべきだとして、議論を呼んでいます。
今回は、POFMAと呼ばれるシンガポールのフェイクニュース対策について、お伝えします。
フェイクニュースの問題とは?
事実でない情報でもってニュースとして報じることをフェイクニュースと言いますが、近年ではソーシャルメディアの発達により、極めて容易にフェイクニュースが蔓延するようになりました。
シンガポールの法律では、フェイクニュースは虚偽(Falsehood)に含まれると理解されています。
人種、国籍、性別、宗教、言語を問わず、多文化共生を旨とする国家繁栄を志すシンガポールにとって、フェイクニュースが内包するヘイトスピーチの危険は、世界の金融ハブとしての自己の安寧を脅かすものと認識されており、一般にフェイクニュース対策法と呼ばれる法律が成立しました。
POFMAはどんな法律?
オンライン虚偽および情報操作防止法(The Protection from Online Falsehoods and Manipulation Act、通称「POFMA」)は、一定の条件に該当するシンガポール国内の表現の流布を禁じる目的で、2019年10月に発行されました。
シンガポール政府が虚偽と認定し、国家の安全保障や公共の福祉を脅かすと判断される内容、具体的にはヘイトスピーチや選挙結果に影響するもの、政府に対する国民の信頼を損なうもので、誤りと認められる情報の拡散を禁止するものです。
上述のFacebookやTwitterを含むソーシャルメディアにおいても、シンガポール政府が虚偽と認定したコンテンツは訂正が命じられ、同内容を変更ないし削除する義務が発生するとしています。
フェイクニュースの認定権限は政府にあり、ソーシャルメディア運営企業は、虚偽の情報を拡散するアカウントをブロックするよう要請されることもあるとしています。
どんな指示がされるの?
虚偽の情報と政府に認定されるコンテンツが発見された場合、POFMA局によりコンテンツ主に対し、訂正命令が発せられ、投稿されたコンテンツの上に全面的に虚偽の情報であったと表示するよう要請されます。
このコンテンツと訂正の内容はFactually(ファクチャリー)と呼ばれるシンガポール政府のウェブサイトにも掲載され、上記虚偽情報であることの表示にもこのサイトへのリンクが貼り付けられます。
シンガポール政府や民族問題と直接の関連はなくとも、オンラインで具体的な情報をもって論説を展開する場合には、フェイクニュースと見られるリスクもある点、今後は気を付けた方がいいでしょう。
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