こんにちは、シンガポール駐在員の和久井です。
シンガポールは東南アジアの中でも物価が高いとされる国に位置づけられています。不動産や生活費は日本とほぼ変わらず、場合によってそれ以上と感じることもあります。シンガポールの賃金も生活物価基準の高いシンガポールならではの企業にとって悩まされる1点かと思います。
近年のシンガポールの外国人労働者の規制が強化されてきてから、労働者の人口増しが圧縮されてるとして2013年第一四半期MOM(人材開発省)の調査によると、雇用創出は20,800人との結果がでており、昨年の第四四半期の44,000人と比べても、また2009年以降の四半期の中で過去最低の数値の結果となったことを報告しています。余談ですが、そのうちサービス業の雇用人口は仲でも最高の14,600人を占めております。外国人労働者の雇用や駐在員を現地に置く選択肢が狭まれるなか、シンガポール人もしくはシンガポール永住権の方を雇用せざるを得なくなる状況になってきている企業は少なくないはずです。ただし一方で外国人労働の賃金水準と比較すると、シンガポール人の賃金は比較的1.5倍以上の差がつくこともあり、新卒でも大学卒業の方を雇用する場合、職種や大学により若干異なりますが、経営学部卒の場合3,500~3,700SGD、工学部の場合3,100~3,300SGD、その他文学部卒業の方で2,500SGD以上という位置づけとなり、日本との水準と大差がないというのが大半を占めることになります。つまり東南アジア拠点に事業を拡大するにあたって、人材の雇用また優秀な人材を確保する点では人件費は企業にとっても重要な投資となるのです。
今年は賃金の上昇率はCPF(中央年金基金)を含めない場合4.5%を見込んでおり、うち物価指数は3.8%。過去の賃金水準の上昇率は2010年5.5%、2011年は5.6%とほぼ毎年上昇と比べて、今年も数値としては落ち着いていますが上昇する傾向が見受けられます。また失業率1.9%となるシンガポールにおいて、優秀な人材を確保するのに、賃金調整は会社の重要な戦略のひとつとなってきているとされます。賃金が高ければいい人材が確保できるという定義には限界があります。また転職が頻繁に行われる社会にあって、社員が会社を評価する一方、会社は社員に対し何を求めるかを提示することで、互いの意思疎通となる納得のいく給与設定や人材の確保へつなげることが人事考課として今後必要とされる新たな戦略となるかと思います。
※記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Pte. Ltd.)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承くださいませ。
以上