シンガポールでの適用は?IFRS16に着目!

会計

 

SFRS(Singapore Financial Reporting Standard:シンガポール財務報告基準)により、IFRS(国際財務報告基準)とほぼ同様な会計報告のルールを持つシンガポール、IFRSの基準変更にも即座にたいおうします。

2019年からリース会計の基準に変更の生じたIFRS16も、シンガポールにはそのまま適用になります。

今回は、このIFRS16について、要点をまとめてお伝えします。

 

リース会計ってなに?

まず、IFRS16の対象となるリース会計を説明します。

リースの定義は、リース会社から事業用設備を借り、賃借料を支払うことです。

そのメリットは、賃借料さえ払い続ければ購入するための資金調達や劣化・型落ちによる損失、故障した場合の財務リスクを回避できるところにありますが、契約によっては、会計上購入と同様の資産計上をする必要のあるリースが存在します。

 

これは、最終的に設備の譲渡が定められていたりして、実質的な売買契約の形になっているリース、いわゆるファイナンス・リースと呼ばれてきました。

設備の譲渡を伴わないオペレーティング・リースであれば、賃借料を毎期費用計上すれば済む(=オフ・バランス処理)のに対して、ファイナンス・リースに該当する場合は、リース契約時に資産/負債計上(=バランスシートに記載されるという意味で「オン・バランス処理」といいます)が必要になります。

 

IFRS16で何が変わったの?

2019年1月からの変更で、リース会計に関するIFRS16の基準に変更が加えられました。

これにより、上記ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分がなくなり、原則すべてのリースはオン・バランス処理されることになりました。

これは、リースを行う項目すべてでバランスシート上に影響が出ることを意味します。

ただし、これは借り手側(Lessee)のみの変更であり、貸し手リース業者(Lessor)の会計では引き続きファイナンス・リース/オペレーティング・リースの区分に沿ってオン・バランス処理/オフ・バランス処理が行われます。

 

本当に全部のリースが対象?

厳密には、新たにIFRS16で採用された概念として、リース設備の使用権(Right-of-Use)という基準が設けられています。

これは、借り手が当該設備の支配権を有するか否か、という基準であり、契約形態によらず、事務所の賃貸借契約も対象になると考えられます。

しかし、リースが簡単な機材を含むものである以上、すべてのリース設備を対象にすることは現実的ではありません。

少額リース、および短期リースはIFRS16の適用を免れ、オン・バランス処理しないことが認められます。

 

少額リースの基準はUSD5,000(≒S$6,800)を超えるか否か、というものです。
一方、短期リースとは、リース契約期間が12か月を超えないものを指します。

さらに、後者の短期リースの判断基準としては、単純な契約期間だけでなく、延長オプション、および解約オプションを加味して判断することがIRFRS16で求められています。

具体的には、合理的に考えて契約の延長が確実となる形でオプションが提示されている場合、および契約期間途中で解約を行わないことが合理的に考えて確実である形でオプションが提示されている場合には、当該延長期間はリース契約期間に含めて計算する、というものです。

 

全体的な影響は?

シェアエコノミー、ギグエコノミーが深まるシンガポール、どの企業もIFRS16の新基準に注意が必要です。

バランスシートに影響が出る可能性が高くなり、これまで計上する必要のなかった資産と負債を計上することになりますので、相対的に資本の額が小さくなり、自己資本比率が下がります。

また、細かいことですが、インカムステートメント(=損益計算書)でも、これまで賃借料の費用処理だけをしていたところが、資産の減価償却費用、および支払い利息による営業外費用の計上に分かれます。

結果として、営業利益が利息分上昇することになるでしょう。

 

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