メキシコで多くの日系企業をサポートしていると法人所得税の計算方法に困惑する方が多くいらっしゃいます。
その一番の原因は、課税所得を計算するにもインフレ調整が入るためです。
これは他の国ではほとんど見られないメキシコの特殊な部分でもあります。
しかもこのインフレ調整によって課税所得を計算するのに貸借対照表が絡んでくるのです。
具体的にどういう事かと言いますと、インフレ調整を計算する上で使用されるのが以下の二つになります。
・月次平均貨幣性資産
・月次平均貨幣性負債
月次での貨幣性資産及び負債の平均額を年度末に算出し、計算されることになります。
それぞれどの様な科目が入るかといいますと、以下の通りです。
月次平均貨幣性資産
・預金
・売掛金
・未収入金
・貸付金
・未収還付税金
月次平均貨幣性負債
・買掛金
・借入金
・未払税額
・未払金
・株式申込証拠金※1
※1 株式申込証拠金(Aportaciones por futuro aumentos de capital)
増資手続きが未完了の状態で実際に送金があった場合、この科目が使われます。
純資産に含まれますが、インフレ調整の計算上では、月次平均貨幣性負債とみなされるため注意が必要です。
また具体的なインフレ調整の計算方法としては、以下の通りです。
月次平均貨幣性資産及び負債の差額分 × インフレ調整係数
INPCとは、Indice Nacional de Precios al Consumidorの略で直訳すると全国消費者物価指数になります。
毎月、国税庁であるSATが発表しており下記のURLで確認することができます。
http://omawww.sat.gob.mx/informacion_fiscal/tablas_indicadores/Paginas/inpc_2018.aspx
月次平均貨幣性資産の方が大きかった場合
上記の計算結果の数字を課税所得からマイナスします。
月次平均貨幣性負債の方が大きかった場合
上記の計算結果の数字を課税所得からプラスします。
上記の計算から分かります様に負債が少ない方が、課税所得が少なくなるのです。
インフレ調整によって会計上では、利益が出ていなかったとしても課税される場合が御座います。
税金対策のためにも貸借対照表にも目を配ることがメキシコのビジネスにおいて重要なポイントの一つです。
メキシコの税金対策等、ご相談があれば是非、お問い合わせ頂ければと存じます。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛
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