メキシコの治安について

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こんにちは、メキシコ駐在員の片瀬です。
今日はメキシコの治安について書こうと思います。皆さんもメキシコは治安が悪い国であると聞いたことがあると思いますが、なかなか実状を知る機会はないと思いますので是非読んでみてください。

先日、とある企業の社長からメキシコの治安について教えてもらいました。メキシコではピストル強盗がいたるところで発生しています。事実、その企業は100人規模の会社でありますが、この3カ月で3人がピストル強盗の被害に遭っています。単純計算をすると月1%の確率です。しかもこれらピストル強盗は日中や通勤時間中に起こっているので、夜間に出歩くと更に事件に巻き込まれる可能性が高くなります。
そのためメキシコで生活する為のポイントは、ピストル強盗に遭う前提で生活をすることです。もしピストル強盗にあった時にもたもたして強盗を怒らせてしまうと、殺される可能性が高くなりますので、最低限殺されない為のルールを身につける必要があります。
まず、現金を持つこと。そしてカードを持たないこと。強盗に遭う可能性が高いとなると、現金をなるべく持たないようにしようという意識が働きますが、それは大きな間違いです。カードだけを持って現金を持たないようにすると強盗から誘拐に発展します。誘拐は基本的には2~3時間拘束しカードでキャッシングを行わせそのキャッシュを奪い逃走するというのが一般的ですが、誘拐されると2~3時間は強盗犯と一緒にいなくてはなりません。その間に強盗犯を怒らせてしまったら……。
また、私のカードはキャッシング機能がついておりません。これも危ない。強盗犯はカードにキャッシング機能が付いている前提で誘拐をしてきます。スペイン語が話せない中、カードにキャッシング機能が付いていない説明ができますか?おそらく強盗犯には、現金を引き出すことを拒んでいるように見えることでしょう。
社長いわく、殺されないためには強盗犯のPLを想像しろということでした。強盗犯もビジネスで強盗を行っており、ビジネスが成り立たなくなった場合(生活ができない場合)に発狂し、殺される可能性が出てくる。相手のビジネスの中でのしっかりとした対応をしていれば殺されるリスクは無いとの事。
では、強盗団はいくらのキャッシュをもらえると満足するのでしょうか。それは、6,000ペソ(日本円で5万円弱)です。これだけ渡せば“ありがとう”と言って帰っていくことでしょう。なぜ6,000ペソか?それは銀行での1日の引き出し上限が6,000ペソとなっているためです。強盗犯は誘拐して、キャッシングを行わせたとしても6,000ペソ以上の金額は手に入れる事ができません。なので、強盗犯はそもそも6,000ペソ以上の金額を手に入れられるとは思っていないのです1人当たり6,000ペソであれば、ピストルはただの見せもの。殺すリスクを彼らも受け入れてはいないのです。
なので、6,000ペソを常に持ち歩き、強盗に遭ったら必ず全てを捧げる。そして、そのお金は運が悪かったと諦める(まぁ車を奪われたら運が悪かったとは諦めきれませんが……)。これがメキシコで強盗に遭ったときのポイントです。
また、長財布も禁物です。男性であれば、基本的に長財布はジャケットの胸ポケットに入れる事が多いですがこれを取りだすしぐさが、胸ポケットからピストルを取り出す仕草に見えて財布を出す前に殺される可能性が出てきます。もちろんズボンのポケットなんかに長財布を入れれば一瞬ですられてしまいますのであしからず。
なので、財布は折りたたみの財布をズボンのポケットに、そして犯人の顔を見ないで、後ろ向きに手を上げてお尻をさして「マネー。マネー。」これで大丈夫。後は犯人がお尻をまさぐり勝手に取って、確認し逃げていきます。強盗を受ける方にもしっかりとしたルールがあります。それを知らなければ最悪の事態を招いてしまうので、注意してください。
また、私の住んでいる地区(メキシコではかなり安全と言われている地区)でも、半年ほど前に日本人駐在員が夜中に自宅でピストル強盗にあっています。その際は、いつの間にか合鍵を作られていたようです。どこから自分の情報が漏れているかもわからない中、犯罪に巻き込まれてしまう場合もありますが、それでも最新の注意を払うに越したことはありません。
海外であればピストル強盗は彼らのビジネスであるとしっかりと認識し、決して抵抗をせずに全てを渡してください。そうすれば彼らも危害を加えることなく立ち去ってくれます。
海外に行くと自分の身は自分で守らなくてはなりません。
特に日本人はお金を持っていると思われているために狙われやすく、そして危機管理意識が低いために、大きな被害を招いてしまいます。ちょっと前にカンボジアで日本人が殺害されましたが、あれもお金を渡すのを拒んだためによるものです。海外と日本は違う、これから駐在に行こうと思っているかたも、現在駐在をしているかたも、いざこの様な事態に巻き込まれた時にどうするか?自分の動き方をしっかりと考えて頂ければと思います。

最後にビジョナリーカンパニー2に書いてあったお話しを少し。
「ハリネズミの概念」
キツネとハリネズミを比べるとキツネの方が何でもできるが、勝負をするとハリネズミは絶対に負けなかった。一つのことを突き詰めていき本質を見抜くと、何でもできるキツネにも負けなくなるというお話(本書ではハリネズミが勝つと書いてあったと思いますが、私は負けないが適正であると考えています)ですが、これはビジネスの世界でもピストル強盗の世界でも通ずることだと思います。どういうことか?(これは当社の強者戦略及び弱者戦略と基本的な考え方は一緒ですので、もし本書を読む際には強者戦略、弱者戦略と関連付けて読むと理解が深まるものと思います。)
本書では、ハリネズミ(弱者)は自分が世界一になれる部分はどこか、自分の強みを作って戦いを挑むと書いてありますが、私は自分がハリネズミ(弱者)であることをキツネ(強者)に認識させることが弱者戦略では非常に重要だと考えています。強者と弱者がガチンコで戦えばほぼ100%強者が勝ちます。それは組織でも、動物業界でも同じです。
弱者戦略で大切な事は相手に自分がハリネズミだとしっかりとしっかりと認識させることです。認識させることによって自分が強者となれる可能性が生まれるのだと思います。
ここで話を戻します。つまり弱者である私たちはピストル強盗に自分がハリネズミであることをしっかりと認識させる必要があるのです。そして自分がハリネズミであると認識させることによって被害に遭う件数は確実に減ると思います。どのようにハリネズミと認識させるのか? それは……堂々と、まわりを気にしてください。えっ!? たったこれだけと思う方もいることと思います。そう、たったこれだけです。そして決してビクビクしないでください。ピストル強盗の獲物は、1人だけではありません。全体の中の一人になってしまわないように常にまわりを気にしてください。例えば後ろを定期的にふり返るだけでかなりの効果があるのだそうです。

ビジネス書の中にある物事の本質は、決してビジネスだけで息づくものではなく、日々の生活の中でも常に息づくものだと思います。ただそれの関連性を見いだせないだけだと。それならば、生活の中で息づいている本質も、もちろんビジネスに生かすことができる。常に全体的な視点で物事に取り組みたいものです。

海外に駐在しているかた、今後駐在しようと考えているかたは、自分の身を守るのはもちろんのこと、しっかりと周りの身も守れるようになって頂ければ幸いです。

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