メキシコの自動車産業の動向について

その他

 

今回はメキシコの自動車産業の動向についてお話します。

1994年のNAFTA発効以降、メキシコの自動車産業は大きく成長を遂げ、メキシコ最大の産業となりました。巨大な北米自由市場の一員となったことで、世界中の自動車メーカーがメキシコに進出し、生産拠点を構えることになりました。世界最大のマーケットであるアメリカに隣接し、かつ中南米にアクセスしやすいという地理的に有利な条件や、40カ国以上の国々との自由貿易協定を締結していること、安く質の高い労働力で生産ができること、政治・経済ともに比較的安定していることなどを背景に、外資の参入が進み自動車産業は飛躍的に発展しました。

 

メキシコの自動車産業は、2016年には輸出の27%、2017年にはGDPの2.9%、を占めていました。自動車の生産台数(大型トラック、バスを除く)は、2014年321万9,786台、2015年339万9,076台、2016年346万5,615台、2017年393万2,119台、となり、過去最高を更新していましたが、2018年は390万8,139台と少し減少しています。

 

国内販売台数(大型トラック、バスを除く)は2014年113万5,409台、2015年135万1,648台、2016年160万3,672台2017年153万498台、2018年142万1,458台となっており、2016年をピークに減少傾向にあります。

 

メキシコにおいて乗用車の生産を行っている企業は9社(GM、フォード、クライスラー、フォルクスワーゲン、アウディ、日産自動車、本田技研工業、トヨタ自動車、マツダ)であり、日系自動車産業の対メキシコ直接投資についても、2016年までは関連メーカーおよび関連商社のメキシコ進出を含め非常に盛んになっていました。

 

日産自動車は2017年には年間82万台を生産しており、24.2%のシェアを占めるメキシコ最大の自動車メーカーとなっていましたが、2018年には日産が76万台に減少し、GMが83万台となったため、第2位となっています。日産に比べると進出が遅かった本田技研工業、トヨタ自動車も生産台数を伸ばしており、2014年には、マツダもメキシコにおいて生産を開始しています。

 

仕向け地別に見ると、北米向けは前年比9.2%増の281万5,258台と引き続き堅調に推移しています。中南米向けは、2015年にはブラジルとの自動車協定のブラジル側の見直しを主な原因とし、16.4%減の19万2,933台となり、特に、ブラジル向けが42.2%減少しておりましたが、2018年においては、28万7,694台と前年比19.9増となっています。

 

その他、欧州向けの販売は、47.9%増の24万8,688台となっています(2018年時点)。

こうした各国向けの販売数が減少する中でも自動車産業の対メキシコ直接投資は依然として増加を続けています。

 

【世界の自動車生産ランキング】

出所:OICA
http://www.oica.net/category/production-statistics/2015-statistics/

 

メキシコの自動車産業の大きな特徴の1つが、その輸出割合の高さです。NAFTA発効当初も、メキシコにおける自動車生産総数の約半数が輸出されていましたが、輸出傾向は一層高まり、2018年には88.3%が輸出されています。輸出先はNAFTA加盟国であるアメリカとカナダが圧倒的に多いですが、メキシコは積極的に多くの国と貿易協定を発効しており、輸出先は幅広くなっています。そのためアメリカ、カナダ向けの割合は、2016年に80.0%ありましたが、現在2018年では81.6%となっています。

 

もう1つの特徴は、メキシコの自動車生産における部品調達の自由度の高さと豊富さであり、多くの多国籍自動車メーカーが進出しているメキシコには、さまざまなメーカーやブランドに対応できる中小の部品メーカーが数多く存在します。さらに、自由貿易協定締結が進んでいるため、国外からの部品調達における関税障壁が低い、あるいはないという条件のもと、グローバルなサプライチェーンを生かした生産ができるという点も影響しています。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年11月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

関連記事

ページ上部へ戻る