メキシコ労働時間短縮2027|週46時間と勤怠電子記録の対応策
執筆者:袖山 大輝(東京コンサルティングファーム メキシコ拠点)
皆さん、こんにちは。東京コンサルティンググループメキシコ拠点の袖山です。
本記事では、2027年1月1日から施行される法定週労働時間の短縮(48時間→46時間)と、同時に義務化される勤怠の電子記録について、段階的なスケジュール、残業の新ルール、罰則、そして年内に進めるべき準備手順を解説します。
1. メキシコの法定労働時間はいつから短縮されますか?(2027年から週46時間)
メキシコでは、法定週労働時間が現行の48時間から段階的に40時間まで引き下げられます。2027年1月1日が最初の短縮開始日であり、週46時間が新たな上限となります。その後5年間にわたって毎年2時間ずつ短縮され、2030年に週40時間に到達します。
| 年 |
週の法定労働時間の上限 |
| 2026年 |
48時間 |
| 2027年 |
46時間 |
| 2028年 |
44時間 |
| 2029年 |
42時間 |
| 2030年 |
40時間 |
経過規定第7条:給与の減額は認められない
経過規定第7条により、労働時間の短縮を理由として従業員の給与を減額することは認められていません。つまり、週48時間で支払っていた給与は週46時間になっても同額を維持しなければなりません。
具体例
例えば、工場で週48時間(月〜土曜各8時間)のシフトを組んでいる場合、2027年1月1日からは通常勤務は週46時間までとなります。超過する2時間分は残業扱いとなり、割増賃金の支払いが必要です。シフトの見直しか、残業コストの増加をあらかじめ見込んでおく必要があります。
まとめ
2027年1月1日から法定週労働時間は46時間に短縮されます。給与の減額は認められず、超過分は残業扱いとなります。シフト体制の見直しを年内に完了させる必要があります。
2. 残業の新ルール:2倍払いは週9時間まで、それを超えると3倍払いです
労働時間短縮に伴い、残業に関するルールも変更されます。
第66条:残業の上限
残業は1日3時間まで、週3回までが原則です。この原則自体は変更されませんが、法定労働時間が短くなるため、残業が発生しやすくなります。
経過規定第4条:週9時間までは2倍、超えると3倍
経過規定第4条により、週の残業時間が9時間以内であれば通常の2倍の賃金が適用されます。しかし、週9時間を超える残業については3倍の賃金を支払う義務があります。
第68条:3倍払いの適用
第68条の規定により、週9時間を超える残業に対しては通常賃金の3倍を支払わなければなりません。これは使用者にとって大きなコスト増要因となります。
具体例
日給400ペソの従業員が1週間に12時間の残業をした場合を考えてみます。時間単価は400ペソ÷8時間=50ペソです。最初の9時間分は2倍の100ペソ×9時間=900ペソ、残り3時間分は3倍の150ペソ×3時間=450ペソとなり、残業代の合計は1,350ペソとなります。
まとめ
残業は週9時間までが2倍払い、それを超えると3倍払いです。法定労働時間の短縮により残業が発生しやすくなるため、残業コストの増加を見込んだ人件費計画の見直しが必要です。
3. 勤怠の電子記録義務:違反すると最大586,550ペソの罰金です
要点:2027年1月1日から電子記録が義務化
2027年1月1日から、すべての使用者は従業員の勤怠を電子的に記録する義務を負います。紙ベースの出退勤管理は法的要件を満たさなくなります。
根拠条文
第132条第XXXIV号:使用者は従業員の出退勤時刻を電子的手段により記録・保存する義務を負います。
経過規定第5条:この義務は2027年1月1日から施行されます。なお、STPSの一般規則(reglamento general)は2026年9月29日時点では未公布です。
第994条第IV号Bis:違反した場合の罰金が規定されています。
罰金額:UMAベースで29,328〜586,550ペソ
罰金はUMA(Unidad de Medida y Actualización)を基準に算出されます。違反の程度に応じて最低29,328ペソから最大586,550ペソの範囲で罰金が科されます。
具体例
例えば、従業員50名の工場が紙の出勤簿のみで管理しており、電子記録システムを導入していなかった場合、労働監督(inspección laboral)の際に罰金を科される可能性があります。特に、労働時間短縮の遵守状況とあわせて検査される可能性が高いため、電子記録の導入は労働時間管理と一体で進める必要があります。
まとめ
2027年1月1日から勤怠の電子記録が義務化されます。違反した場合は最大586,550ペソの罰金が科される可能性があります。STPSの一般規則は2026年9月29日時点で未公布ですが、電子記録システムの導入準備は年内に着手すべきです。
4. 年内に進めるべき準備の手順
2027年1月1日の施行に向けて、以下の6つのステップを年内に進めることを推奨します。
- 現行の労働時間・シフト体制の棚卸し:全従業員の週労働時間を確認し、46時間を超えるポジションを洗い出す。
- 新シフト表の設計:週46時間以内に収まるシフトパターンを複数案作成し、生産性への影響を試算する。
- 残業コストのシミュレーション:週9時間超の3倍払いを織り込んだ人件費シミュレーションを実施する。
- 勤怠電子記録システムの選定・導入:電子記録の要件を満たすシステムを選定し、導入スケジュールを確定する。
- 就業規則(Reglamento Interior de Trabajo)の改定:労働時間・残業・勤怠記録に関する条項を新法に対応した内容に改定する。
- 従業員への周知・説明会の実施:新しい労働時間と勤怠記録のルールについて、従業員に対して説明会を実施する。
まとめ
2027年1月1日の施行まで残り約3ヶ月です。労働時間の短縮、残業ルールの変更、勤怠電子記録の義務化という3つの変更が同時に施行されるため、準備を先送りにすると対応が間に合わなくなるリスクがあります。上記6つのステップを年内に完了させることを強く推奨します。
メキシコの労働時間短縮対応・勤怠電子記録システムの導入・就業規則の改定については、東京コンサルティンググループメキシコ拠点にお気軽にご相談ください。
株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点 袖山