経営は4つの視点で考えることが重要であり、その具体的な視点として、【財務の視点】、【顧客の視点】、【プロセスの視点】、【組織の視点】を順次説明していきます。前回までで、【顧客の視点】②を終えましたので、③に移っていきたいと思います。
【顧客の視点】
- 社長は外を見ろ!
- 利益感度分析
- PPMとアンゾフマトリックス
- 海外進出か国内差別化か。
今回は③のPPMとアンゾフマトリックスの考え方に移ります。まずPPMの説明からしますと、PPMはプロダクト・ポートフォリオ・マトリックスと言って、ボストンコンサルティンググループさんが生み出したコンセプトで事業戦略(事業の特徴と事業のバランス)を考えていくためのフレームワークになります。
①右上に問題児(Child)、②左上に花形商品(スター)、③左下に金のなる木、そして、④右下に負け犬と置きます。
縦軸は市場成長率の高さをとり、横軸は相対的なマーケットシェアをとり、右に行けば行くほど、マーケットシェアが低いということを表します。ここでいう「相対的」という意味は、トップシェアの企業であれば、2位以下とのシェアを比較すればよいですし、2位以下の企業であれば、トップ企業のシェアと比較すればよいです。
そうすると、①は市場の成長率は高いが自社のマーケットシェアが低い状態→市場の成長率が高くて、魅力的であるが、マーケットを今から取っていくのには、投資が必要になるという段階で、育てていく必要のある商材を言います。
次に②は市場の成長率も高く、自社のマーケットシェアもある状態→花形と言われるぐらいなので、ポジティブなイメージかもしれませんが、実はお金をザクザク生み出す、というわけではないのです。スターは金遣いも荒く、マーケットシェアを取っていくためには、研究開発費や広告宣伝費がオンされている状態なので、キャッシュ生成にはイマイチ効率的であるとは言えないのです。
そして、③になると、市場の成長率は低くなり、マーケットシェアが高い状態→マーケットを死守した企業が勝ち得たというフェーズであり、このころには市場の成長率も鈍化しているので、新規参入もなく、一人勝ち状態となって、高い研究開発費や広告宣伝費も必要なく、売上とキャッシュ生成に大きな利を得ます。
しかし、最後にどんな商品でもイノベーションや社会変化により、流行遅れや商品価値自体の劣化が伴い、市場の成長率も低く、自社のマーケットシェアも低い(新たなイノベーティブな商品群と比較することもある)状態→商品のライフサイクルと言われ、この状態にあると、不良在庫化することや、減産や量産停止、といったフェーズになり、誰も興味を持たず、商品としてのライフサイクルを終え、売上やキャッシュ生成に寄与しない状態となります。
ここまで理解できたら、自社の商品を①~④に区分けし、売上高に比例した大きさの円を描くことで、現状はどのフェーズにどれぐらいの事業バランスかを視覚的に把握することができます。そしてこの結果を、次はどこに手を打っていくのか、投資していくのかを明確にすることにより、事業戦略を立てるための一助になるはずなのです。
そして、実は一番ここで伝えたかったことは、このPPMは紹介に過ぎず、同じようなポートフォリオを図解して、応用的に考えていくことができる、ということです。
例えば、この縦軸に粗利率の高さを示し、横軸に自社内での売上の割合を示しても良いでしょう。①~④の名称は何だって構わないのです。自社の売上比率と粗利率の商品を区分けしていくことで、どこに手を付ければより利益が出るのかも明確になるでしょう。それに従った戦略をうまく図解と言語化をすることで、社員のTODOの透明性や納得感を増幅させることにもつながるはずです。
市場を見るということは、顧客を見るに同義です。粗利率を上げていこうと思えば、以前説明した利益感度分析によって、顧客に対する単価アップが必要です。顧客の視点を考えることは売上のトップラインを形成するということなので、最も重要なことの一つと言えるでしょう。
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株式会社東京コンサルティングファーム
橋口 敦史
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