社員の言う「あるべき論」にどう対応するのか?

人間、誰しも判断基準をもっています。

その基準により日々”意志決定”を行っていますが、自分の中にその基準がないもの、”判断不可”と判断したものについては、自分の中にある”常識”で判断しようとします。

 

経営者は、常に長期視点で、広く社会のことを考えた上で、現実を踏まえて日常の意志決定を行っています。

その意思決定を社員側が全て理解して行動できる、というのは現実的ではなく、理解できていない中で、経営者が社員側に理解を求めながら経営を行っているというのが現実ではないでしょうか。

 

経営者は、時に”非常識”と思われる意思決定を行います。

誰もが”YES”と答えるような”常識”が、ときに経営の中では”非常識”であると知っているからです。

 

しかし、その意思決定の背景を社員側が知る由はありません。
そんなときに社員側がとる行動というのは、以下のようになるかと思います。

  1. 納得はしないが、従う。
  2. ”あるべき論(正論)を言い反論する。
  3. (経営者を批判して)その会社を去る。

 

世の中の常識だけで経営を行っていては、”普通の会社”になってしまいます。

このような場合に、経営者は社員に納得をしてもらおうと今の会社の状況など”(会社側の都合)の理由”を説明して回ると、間違いなく上手くいかないでしょう。

 

根本の理由の多くは、社員側が「変わりたくない」とか「できない」と思ってしまっていることに帰結するので、この状態で経営者が何を言ってもなかなか聞き入れてもらえない、というのが現実ではないでしょうか。

 

こういう時のために、普段からの信頼関係作りというのが重要ではあるのですが・・・
もし、会社が倒産危機など緊急時であれば、経営者がリーダーシップを発揮して強制的にやらせるべき場面もあるでしょう。

このような場合の一つの解決策として、「社員側のメリット(又はデメリット)」を打ち出して説明、納得させる、というものがあります。

 

ある大手チェーンの経営危機の際に、同様のことがあったそうです。
その際に経営者の方が社員に対して言ったのは

「もし、(経営者の言う一見非常識な)このやり方を行わないのであれば、結果は絶対にでない。その場合、給料もあがらないがいいのか?」と。

 

当然、社員側は「それは困る。」と言います。

そこで経営者は「じゃあ、会社が稼ぐお金が一緒であれば、どうしてもらえる対価が増えるのか?」と伝え、
その上で「じゃあ、どうやって対価を増やすか。方法は何でもいい。それが出来ないのであれば、私の考える方法をやってほしい!」と社員側を説得したそうです。

 

平時のリーダーシップ、火事場のリーダーシップ。

経営者に求められる役割と言うのはどんなときでも、「会社の戦略に対して社員の力を借りて実践、成果をあげていく」という点では変わらないかと思います。

 

しかし、常に一辺倒のやり方ではなく、時々に応じて”手段”を変えるという事も経営者として必要な行動になるかと思います。”成果につながるか”という点次第で。

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