インドネシアの人口は、2017約2.62億人(IMFによる2017年4月時点の推計)。その過半数が首都ジャカルタのあるジャワ島に集結している。この近年の首都圏への人口集中と経済活動の活発化によって引き起こされる衛生問題や大気汚染、水質汚濁などの抜本的な解決が急がれている。
今回はその中でも、世界的に今後更に深刻度が増していくであろう水質問題について取り上げる。
インドネシアでは、生活費や企業活動に必要なだけの水を表流水だけでは確保できないことから、その多くを地下水に依存している。特にジャワ島は、経済活動の中心地でありインフラも集中しているため、乾季には増加する需要に供給が追いつかなくなっている。また、1億人以上が安全な飲料水を入手でいないと言われており、人口増加や森林破壊に伴いインドネシアの水不足問題は深刻さを増している。
現在、インドネシア政府は、ミレニアム宣言の調印国の一つとして、2015年に安全な飲料水を利用できない人々の割合を半減する目標を掲げたミレニアム開発目標(MDGs)の達成のために巨額のプロジェクトを計画している。その達成に向けて、政府の上下水道向け資本支出額は、2011年の26億米ドルから、2018年には50億ドルとほぼ倍増すると予想されているが、その必要資金に関しては民間への依存度が非常に高くなっているのが現状である。インドネシアは1998年以降に急速に地方分権化が進められ、多くの責任の所在は民間企業や地方自治体にある。そのため、水道事業においても決定権は地方知事や市長に委ねられることになり、国の政策がなかなか反映されにくい問題がある。
この現状の解決のため、近年日本によるインドネシアの水資源の確保に関する研究は多くなされている。2013年には、日本水道協会によるジャカルタでの水道事業研修が実施された。本研修は、2010年7月に PERPAMSI(インドネシア水道協会)と本協会で交わされた覚書協定に基づき、水道のグローバル化に対応した人材を育成することを目的とした研修である。日本の高度な水処理技術を多くの水質汚濁を抱える国に提供していき、多くのハイレベルな技術者を世界でも生み出していきたい。