Q.インドネシアに来て、2年目を迎え、従業員数も20名を超えてきており、労務管理が税務処理と並んで、一番の懸案事項となっております。また、今年就業規則の改定を迎えており、それに対して時期等、よいアドバイスを頂けるとありがたいです。
A.会社の労務管理上、あるべき人材、求める人材と職務を定め、教育制度と人事考課を定めることが、<攻め>の労務管理であるならば、就業規則等の規定系の作成は、<守り>の労務管理の側面があります。すなわち、規定の作成の目的は、紛争を事前に想定し、その予防線となるべき、懲罰事項の確定、プロセスを定める、そして、実際に問題が起きてしまった時の円滑な処理をするためのツールとしての役割が重要となります。
就業規則については、保守的見地から、従業員全体に対する共通事項を記載するというスタンスで、必要以上の言及をしない方向で、考えた方がよいでしょう。人事部は日ごろから、労務管理の紛争事案をまとめておき、改定時期に阿合わせて、事後策を講じられるようにしておく準備が必要となります。インドネシアの労働法上、2年に一回の改定が必要となりますから、改定時期を明確に決め、そのための素案の作成、事前協議の回数、従業員周知、労働省報告の具体的なスケジュールを組んでいく必要があります。特に、労働省への報告において、従業員代表3人から、サインが必要になりますので、事前協議を重ねて、下準備をしておくこと、また、労働省への報告後に修正が入ることも多いですから、従業員に対するタイミングにも注意が必要です。
いずれにしても、このようなプロセスは不可避のものですから、経営側としては、従業員の意見を聞くため、およびマネジメントの姿勢を伝える重要な機会ととらえ、取り組むことが重要です。労働省への報告を否定的に捉える見解もありますが、きちんと報告をすることで、就業規則の内容が公的に認められたという証拠を得ることで、従業員への説得力もより増すものですから、忘れず報告をするようにしておく必要があります。
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