歴史に学ぶマネジメント「ローマ編」

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『ローマ人の物語』をお読みになったことはあるだろうか?

 

最初に読んだのが確か17歳の時で、特にユリウス・カエサル編がとても面白かった記憶がある。当時、授業中サボって読みふけっていたことをよく覚えている。

 

「ブルータス、お前もか!」で有名なユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)は、ローマ史で最も有名な人物だ。

 

これに対し、カエサルに先立って独裁官になったスッラは、日本人には意外と知られていない。

 

独裁者として、政敵だったマリウス派や反逆者を次々と惨殺し、「処刑者リスト」まで作って徹底的に反乱の芽を摘んだスッラ。

(スッラの処刑者リストには若きカエサルも入っていた。周囲の者がカエサルはまだ若いので殺さないで欲しいと嘆願した際、彼は「君たちには分からないのか。あの若者の目に何百人ものマリウスが見えるのを」と言ったという。英雄は英雄を知る、ということだろうか。)

 

他方、カエサルは、「自分が自分自身の信条に対し常に忠実でありたいと思っている。だから、他者もそうであって当然だと思う。」と、反乱者に対しても常に寛容であり続けた。

 

 

 

こんな対照的な二人であるが、どちらが非業の最期を迎えたか。

 

実は、スッラはあくまで元老院を中心とする共和制を立て直そうと考えており、目的が達成されるとさっさと独裁官を辞し、引退してしまった。その後は悠々自適に暮らしたという。

 

これに対しカエサルは、自分の部下だったブルータスに惨殺されてしまう。ブルータスはあくまで共和制支持者だったからだ。

 

 

 

敵対する者を情け容赦なく粛清する者が悠々自適の老後を暮らし、誰に対しても寛容だった者が非業の最期を遂げる・・・

 

歴史の顛末は何とも不思議だけれど、とても興味深い。

 

ちなみに、ローマ史を徹底的に研究したマキャベリは、著書『君主論』でこうコメントしている。

 

「民衆には、恩恵を与えるか、一気に害を加えるかどちらかしかない。少しずつ害を加えることが最も悪い」と。

 

そして恩賞も一気に与えるのではなく、ちびちび与えよ、と。

 

なぜならば、人間は恩知らずで、受けた恩恵は忘れやすいが、受けた害は永遠に忘れないからだという。

 

なかなか、歴史は面白い。

 

 

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