インドネシアという国のカントリーリスクを考えた時、労務と税務問題に収斂されると考えて差し支えない。
インドネシア人を採用するなら、中部ジャワの出身の人間がよい。ということを人事担当者から、よく耳にすることがある。中部ジャワの人間は気配り、繊細さといった様々な局面から日本人の気質によく似通っていることからそのように言われると推察される。
採用時のスクリーニングを行う場合、こうした地域的特性の他、CVに記載される内容を担保できるように証憑を提出させることも重要である。学歴を確認できるよう卒業証明を提出させるのは言うまでもない。また、1口に大卒といっても能力にはかなりバラツキが有る傾向があり、それはインドネシアで名の通った大学であっても同様であるので注意が必要である。
とにかく、CVには必ず嘘が記載されていると心得た方が賢明である。インドネシア人にとって日系企業での勤務経験は1つのキャリアアップの手段であり、それだけ、なにがなんでもとい想いが強い、と割り切って考えるしかない。
採用時には、必ず条件を書面化して双方で合意を取ること。そうしないと、次から次へと条件を付け加えられるので注意が必要である。これも相手の交渉術の一つと割り切るしかない。
こうしてようやく採用してもなかなか思うように働いてくれないのも厄介なところである(これは他の国でも言えることであろうが)。正社員の採用には3カ月の試用期間を設けることができる。また、人材紹介会社では、これに合わせる形で、リプレイス(保証)期間を設けているところが通常である。3か月の試用期間をフルに使用して能力を見極めることが重要である。
事前合意と割り切り、この2点がインドネシアローカル人材の採用時に重要な視点である。