みなさん、こんにちは。東京コンサルティングファーム、インドネシアオフィスの長澤です。
今週は、インドネシアでの労働環境についてです。今回は特に宗教と労働組合について取り上げます。
◆宗教
インドネシアは90%がイスラム教で、国教にはなっていないが、多くを占めている。
そのため、工場内、団地内にモスクが無い場合の礼拝施設の設置などの対応が必要となる。
また、労働法上、礼拝のための休憩やこの間の給与カットの禁止などの規定がある。
ビジネス上、特に飲食業ではイスラム教上のハラム(許されていない)食品の取り扱いには注意が必要である。ハラル(許されている)食品との違いを把握し、食材等には十分注意を払う必要がある。一方で、華僑も多いため、豚骨などの食材を使った食品にかかるニーズもあり、このような多面性を把握することが大切となる。
◆労働組合
工業団地では、デモが頻発しており、ジャカルタ市内でもデモによる渋滞発生が見られる。特に近年は最低賃金の引き上げや派遣労働に関するデモが頻発。
傾向としては、工業団地のほうが団地内での賃金の統一や最低賃金の向上に関するデモが年末にかけて起こる。
ジャカルタ市内では、企業内に組合があるケースは少なく、給与等の待遇改善等を組合として交渉されるケースは少ない。ただし、ジャカルタ市内でも給与の上昇傾向はみられ、またジョブホッピングもみられるため、同一企業内での昇給交渉ではなく、転職というかたちで実質的な賃金の向上をしているというケースがみられる。
2007年での労働組合の組織率は3.25%となっている。
宗教も労働組合もインドネシア独自の問題ではありませんが、世界最大のイスラム教国家であり、イスラムの影響度は低いと言われますが、それでもやはり労務管理上の注意は必要です。また、デモについても特に賃金、待遇絡みのデモは頻発しており、労務管理や日常生活への影響があるのが実態といえます。
以上