インドネシアの経済政策②

その他

このような規制緩和は、妥当なものなのでしょうか。

規制を緩和し、自由市場に委ねた方が結果として効率的であるため、経済政策として望ましいことは、多くの場合あてはまるといえるでしょう。

しかし、高い情報の非対称性が存在する市場では、自由市場に委ねることが必ずしも良いとは限りません。

モラル・ハザードが起こるからです。例えば、低所得者向け住宅であれば、その欠陥は外部からでは分かりにくく、構造に欠陥があるまま完成を急いだり、劣悪な資材を用いたりする危険性は常にあります。

政府はこれまで、様々な景気刺激策を立て続けに打ち出してきました。

例えば、昨年行われた第11弾では、ローカルの不動産会社から購入した不動産に対する課税を減額したり、その他では航空機の部品に関する課税を免除したり、ありとあらゆる規制緩和・減税を行なっています。

しかし、全ての政策が成功しているわけではありません。中央政府と地方政府の思惑にはかなりの乖離があり、なかなか協力をこぎつけることが出来ず、発表はしているものの、実現していない政策も数多く存在しています。


第1弾 2015/9/9 製造業に対する規制緩和
許認可手続の縮小
第2弾 2015/9/30 輸出に係る税率引き下げ
産業資産に係る投資ライセンス取得の高速化
第3弾 2015/10/7 労働集約的な資源に係る関税の引き下げ
第4弾 2015/10/15 賃金引上げに関するルール整備
労働集約的・輸出を主とする中小零細企業に対する少額貸付け
第5弾 2015/10/22 資産価値再評価に関する課税インセンティブ
不動産投資信託に対する二重課税の撤廃
イスラム系金融機関に対する規制緩和
第6弾 2015/11/5 経済特区における課税インセンティブ
第7弾 2015/12/4 労働集約的な産業に従事する国民の所得税の緩和
第8弾 2015/12/21 航空機部品産業に対する所得税減税
原油精製所の開発に対する投資インセンティブ
第9弾 2016/1/27 SOEの過去のサービスを対象とする課金システムの見直し
「inaportnet」システムを用いた政府機関の窓口の統合
輸送分野でのルピア建ての義務化
民間と政府の郵便価格の平準化
第10弾 2016/2/11 外資に対する規制緩和
中小企業に対する保護強化
第11弾 2016/5/29 地場の不動産投資信託からの土地譲受に対する減税
輸出企業に対する補助金強化
製薬産業に関する戦略策定
第12弾 2016/4/28 手続短縮、コスト削減などを通じたインドネシアに対する投資インセンティブの強化
第13弾 2016/8/24 低所得者向け住宅に対する規制緩和
 
 

PT.Tokyo Consulting
徳田 忠彦(Tadahiko Tokuda)

 

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