ASEAN諸国において、インドネシアは2億5千万人の人口規模を持ち、マーケットとして非常に魅力のある国だと言えます。その中でも、特にインドネシアにおけるEコマース市場は、現在最も注目を集める分野の一つだとされています。
2017年には、その市場規模は568億USドルに達するとされました。なぜ、インドネシアでは急激にEコマース市場が拡大しているのでしょうか。マクロ要因として挙げられるのが、まず人口規模です。現在インドネシアは、人口およそ2億5千万人のだと言われていますが、年次ベースで見た場合に、人口上昇率は1.5%を超えます。また、全体の人口の約半数が若年層(30代以下)であり、インターネット利用人口の伸びに貢献しています。次にスマートフォンの急速な浸透です。2億5千万人のうち、およそ1億人がスマホユーザーだと言われています。また、中間所得者層の所得増加もEコマース市場の拡大に貢献していると言えるでしょう。
伝統的にインドネシアの小売は、「フラグメンテッド・トレード(fragmented trade)」と呼ばれれる、主として個人商店からの販売方法が際立っていました。しかし、Eコマースの市場はその倍の勢いで拡大をしており、個人商店もEコマースの形態を採らざるを得ません。結果として、Eコマース市場では、個人事業主と小売大手企業とが混在している状況となっています。ですから、インドネシアのEC市場において、規模の優位性は必ずしも競争優位性を約束するものではなく、資本体力に劣る場合でも、ニッチな市場を攻めることで十分勝機を得ることが出来るでしょう。