インドネシアでは、通例12月に1月から施行される最低賃金が各州、特別州ごとに発表されますが、今年は、西ジャワ州、ブカシ県の最低賃金をめぐって大いにもめる事態となりました。西ジャワ州ブカシとは、日系商社も多く工業団地を造っているジャカルタから東へ50分ほど走った地区になります。
ブカシ県の県知事が決定した今年の最低賃金は、先年度(1,286千ルピア)から比較して、なんと15.97%増の1,491千ルピア。当然経営者側は反発するわけで、インドネシア経営者協会(アピンド)は裁判所に提訴、裁判所は、アピンド側の訴えを支持し、知事の決定の無効、見直しの命令が下りました。これを受けて、労働者が決起し、五万人規模の大規模デモ、高速道路は封鎖され、当該地域の日系企業は操業停止、短縮等の対応に追われることになりました。
結局、労使は知事決定とほぼ同額の1,491千ルピアで妥結する結果となり、今月の11日から続いたすったもんだは、経営者が泣く泣く折れる形で、終息することになりました。
結局、根本的な問題は、ブカシ県の最初のジャッジに問題があったということでしょう。中長期的な観点から、労使双方が歩み寄れる視点で妥結する必要があったはずなのに、そのような視点が全く欠いていたと言わざるを得ません。
企業側にしてみれば、労働者側の蜂起も、政府の頼りないジャッジもいい迷惑でしかありませんが、まだまだ安い豊富な労働力の供給源として魅力のあるインドネシアにおいてもこのようなリスクは常に存在することを教訓として覚えておく必要があるといえるでしょう。
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