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東京コンサルティンググループ、インドネシア法人にて勤務しております、内野能活です。
今回は「インドネシアの監査制度」についてです。
目次
・内部監査制度
2007年会社法の主な変更点は、監査役(コミサリス)会の監督機能の強化です。従来、監査役会による業務執行状況の監督が十分に果たせていなかったことへの反省から、監査役会からの監督職務報告書が年次株主総会での承認事項に加えられました。また、事業計画についても、監査役会による承認もしくは監査役会経由で株主総会による承認を得ることになります。監査役会には外部監査役を1名置く必要があります。
このような動きは、監査役会の本来の職務である取締役会に対する監督責任の実効性を高めるための措置といえます。
上場会社は監査委員会を設置します。同委員会は、3名以上のメンバーで構成され、外部監査役が会長を務めます。メンバーのうち1名は金融の専門家である必要があります。
監査委員会は、業務監査および会計監査を行います。具体的な内容として、独自の専門意見の提示や、監査役会に四半期ごとに活動報告をすることなどがあります。
監査委員会の活動内容は、年次報告書に含めて記載する必要があります。
・外部監査制度
外部監査とは、被監査会社と独立性を有した公認会計士による財務諸表監査のことをいい、インドネシアで事業を行う外国企業は例外なく監査を受けなければなりません。
当該企業は、外部監査を受けなければ株主総会で決算書類の承認を得ることができません。
[監査有資格者]
インドネシアにおいても、日本と同様に公認会計士という資格が存在します。公認会計士になるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
まず、IAIが認めるプログラムを修了して大学を卒業した段階で会計士となります。これは日本でいう会計士補に該当し、監査法人で監査業務に従事することができます。
さらに、所定の研修に参加し、試験に合格することが必要です。その後1,000時間以上の実務経験を経て、財務省へ登録することで公認会計士となります。
公開会社の監査をするには、さらに一定の要件が必要であり、公開会社の監査資格を持つ公認会計士はまだまだ少ないといわれています。
[インドネシアの監査法人]
インドネシアで活動をする監査法人は300以上あり、そのうち約90%がいわゆる個人事務所です。
監査法人を組織するためにはインドネシア政府への登録が必要です。公認会計士以外にも上場企業を監査できるライセンスが存在しており、いずれも金融サービス庁が発行しています。
[外部監査の内容]
監査人は、被監査会社が作成した財務諸表の適正性について、監査報告書を作成して意見表明します。外部監査は通常監査法人が行いますが、監査報告書は公認会計士が監査法人の代表としてではなく、個人の公認会計士として署名します。インドネシアでの監査の基準は、国際監査基準(International Standards on Auditing)の適用ならびに導入がすでに完了しているため、制度上、国際レベルの監査手続への移行が進んでいます。
監査人は、被監査会社が作成した財務諸表について、重大な虚偽表示がないことにつき意見を述べ、その意見表明について責任を負います。意見の種類は、無限定適正意見、限定付適正意見、意見不表明、不適正意見の4種類があります。
また、監査人は、被監査会社について、倒産リスクが相当程度ある場合や、株主総会が会社法の規定する事由により、会社の解散を決議したような場合には、これらの事実に基づいて開示を行う必要があります。
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内野能活