皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインドネシア拠点の飯島 淳です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「インドネシアの借入金利息と定期預金 ― 利息は全額「損金不算入」になり得るか?」についてお話していこうと思います。
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・インドネシア関連セミナー― SE-46/PJ.4/1995の平均残高比較ルール、全額損金算入が認められる例外、そして現行実務での留意点 ―利息を支払う借入金と、最終課税(PPh Final)の対象となる定期預金を同時に保有する場合、インドネシアでは借入金利息の損金算入が制限される。根拠は国税総局通達SE-46/PJ.4/1995で、平均借入残高と平均預金残高の比較により損金算入額を決める仕組みである。本記事では、利息が全額否認されるケース、超過部分のみ損金算入できるケース、そして「自己資金で預金した」と証明できれば全額損金算入が認められる例外を、進出日系企業の経理・財務・税務担当者向けに整理する。
キーワード:インドネシア 法人税 / 借入金利息 / 損金算入 / 定期預金 / PPh Final / SE-46/PJ.4/1995 /税務調査 / コレクシ・フィスカル / thin capitalization対象読者:インドネシア進出済みの日系企業の経理/財務・税務担当者、駐在員、経営者
皆さん、こんにちは。東京コンサルティングファーム(TCF)インドネシア拠点の飯島です。今回は、日系企業の税務調査でしばしば争点となる「借入金利息と定期預金がある場合の支払利息の損金算入」について取り上げます。『借入も預金も両方あるとき、支払利息は全額否認されてしまうのか?』というご質問をよくいただきますので、根拠通達SE-46/PJ.4/1995の考え方と、現行実務での扱いを整理してお伝えします。
先に結論
ご質問への回答を、先に簡潔にまとめます。
- 利息は「全額」損金不算入になり得るか → なり得る。平均借入残高が平均預金残高と同額か、それ以下の場合は、支払利息の全額が損金不算入となる。
- SE-46/PJ.4/1995の理解(平均借入≦平均預金なら全額否認、平均借入>平均預金なら超過部分の利息のみ損金算入可)→ 正しい。これが通達第4項の定める計算ルールである。
- 現在も有効な扱いか → 有効。同通達は廃止されておらず、現在もSP2DK(データ照会)や税務調査での更正(コレクシ・フィスカル)の根拠として用いられ、租税裁判所・最高裁の判断でも参照されている。
- 借入で預金したか自己資金かに関係なく適用されるか → 原則は資金の出所を問わず計算ルールが適用される(フンジブル=資金は色がつかないという考え方)。ただし重要な例外があり、増資や課税後利益などの自己資金から預金したと「証明」できれば、支払利息は全額損金算入が認められる。立証責任は納税者側にある。
なぜ預金があると借入利息が制限されるのか
インドネシアでは、定期預金や貯蓄の利息は最終課税(PPh Pasal 4 ayat (2))の対象で、現在の税率は原則20%である(根拠はPP131/2000をPP123/2015で改正、PMK212/2018。
通達制定時の1995年は15%だったが、その後20%に引き上げられた)。最終課税で完結する所得は、年次の課税所得計算には合算されない。所得税法(UU PPh)第6条の考え方では、最終課税や非課税の所得を得るための費用は、課税所得から控除できない。預金利息が最終課税で完結する以上、その預金を生み出すための借入利息も損金に算入できない、というのが基本的な理屈である。これを放置すると、借入利息で課税所得を圧縮しつつ、預金利息は低率の最終課税で済ませる、という不当な節税が可能になってしまうため、通達SE-46/PJ.4/1995が歯止めをかけている。
SE-46/PJ.4/1995の計算ルール
通達は、月ごとの平均借入残高と平均預金残高を比較して、損金算入できる利息の範囲を次のように定めている。
状況支払利息の損金算入の可否
平均借入残高 ≦ 平均預金残高 支払利息の全額が損金不算入平均借入残高 > 平均預金残高 超過部分(平均借入−平均預金)に対応する利息のみ損金算入可
計算例(通達の例に基づく)
ある法人が年利20%で第三者から借入を行い、月平均の借入残高が1.5億ルピア、月平均の定期預金残高が0.4億ルピアだったとする。平均借入残高:150,000,000ルピア / 平均預金残高:40,000,000ルピア借入>預金なので、損金算入できるのは超過部分に対応する利息のみ損金算入可:(150,000,000 − 40,000,000) × 20% = 22,000,000ルピア損金不算入(更正):40,000,000 × 20% = 8,000,000ルピア仮に平均預金残高が平均借入残高(1.5億ルピア)と同額か、それ以上だった場合は、支払利息の全額が損金不算入となる。
全額損金算入が認められる例外(通達第5項)
通達は第5項で、上記の比較ルールにかかわらず、次のいずれかに該当すれば支払利息を所得税法第6条1項に基づき全額損金算入できる、と定めている。ここが「資金の出所」が問われる重要なポイントである。
■ 借入金を当座預金(giro/rekening giro)に置き、その利息(jasa giro)が最終課税の対象となっている場合。■ 法令上、一定額を定期預金として銀行に預け入れる義務があり、その義務を満たすためだけの預金である場合(例:法令で政府系銀行への定期預金が義務付けられる埋立復旧引当などの引当金)。■ 当該定期預金・貯蓄が、増資(追加出資)および課税後の留保利益(sisa laba setelah kena pajak)など、借入ではない自己資金から拠出されたと証明できる場合。3つ目の例外が、実務上もっとも論点になる。預金の原資が借入ではなく自己資金(増資・課税後利益)であることを帳簿・資金移動の記録で立証できれば、支払利息は全額損金算入が認められる。
「借入で預金したか、自己資金か」は関係あるか
結論として、資金の出所は関係する。ただし扱いには段階がある。
■ 既定の取扱いは「比較ルールの適用」である。資金は色がつかず追跡が難しいため、通達は平均残高の比較という推定計算を既定とし、原則として出所を問わずに適用する。■ 一方で、第5項の例外(自己資金からの預金と証明できる場合)に当てはまれば、出所を理由に全額損金算入が認められる。つまり「自己資金だから関係ない」と主張するには、納税者側が立証する必要がある。■ したがって実務では、立証できなければ比較ルールが出所を問わず適用され、立証できれば例外として全額損金算入される、という関係になる。鍵は資金トレース(出資
現行実務での扱いと、調査・不服でのポイント
■ SE-46/PJ.4/1995は廃止されておらず、現在も有効。SP2DKや税務調査で、支払利息の更正(コレクシ・フィスカル)の典型的な論点として用いられている。
■ 根拠法は通達制定時(旧UU PPh)から現行のUU PPh(UU36/2008、UU HPP=UU7/2021で改正)第6条・第4条2項へと移っているが、最終課税所得の費用は控除不可という原則は変わっていない。■ 租税裁判所・最高裁でも本通達の適用をめぐる事例があり、納税者が自己資金からの預金であること等を立証できるかが勝敗を分けてきた。■ 更正を待つより、年次法人税申告(SPT Tahunan)の段階で自主的に財務上の利益から税務上の所得へ調整(自主的なコレクシ・フィスカル)を行い、立証資料を準備しておくのが安全である。
あわせて注意したい他の支払利息の制限
借入利息の損金性は、預金との関係以外にも複数の角度から制限される。日系現地法人で見落とされやすい主な論点は次のとおり。
■ 過少資本税制(thin capitalization):負債資本比率(DER)の上限は原則4:1(PMK169/2015)。これを超える部分に対応する利息は損金不算入となる。■ 債務超過(マイナス資本):資本がマイナスの状態では、借入利息の全額が損金不算入とされる扱いがある。■ 関連者間借入:親会社・関連会社からの借入の場合、利率が独立企業間価格(アームズ・レングス)であることの説明が求められる。
実務対応ポイント
■ 借入と定期預金・当座預金を同時に保有している場合は、月次の平均残高を把握し、損金算入できる利息の範囲を事前に試算する。
■ 預金の原資が増資・課税後利益などの自己資金であることを、資金移動の記録で文書化し、例外(全額損金算入)を主張できる体制を整える。■ 法令上の義務的預金や当座預金(giro)に該当するものは、例外に当たることを示す資料を保管する。
■ DER4:1や債務超過、関連者間利率など、他の利息制限ともあわせて年次申告前にセルフチェックする。
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PT Tokyo Consulting(TCF)は、2011年にインドネシアで創業した日系専門コンサルティングファームです。会計・税務・給与計算・監査・人事労務・法務・会社設立支援までワンストップで対応しています。支払利息の損金性チェック、SP2DK・税務調査への対応、自主的なコレクシ・フィスカルの設計など、個別のご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。
【出典】SE-46/PJ.4/1995(国税総局通達)、UU PPh(UU36/2008 s.t.d.t.d. UU HPP=UU7/2021)第6条・第4 条2項、PP131/2000 s.t.d.d. PP123/2015、PMK212/2018、PMK169/2015、租税裁判所・最高裁判決、DDTC・Ortax・pajak.com 等の解説資料。
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飯島 淳