間接譲渡の課税について Q&A

こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。

 

Q. 今後は、間接譲渡も中国で課税対象になったと聞きました。その規定について教えて下さい。また、具体的にその規定の対象となる取引スキームを教えて下さい。

 

A. はい。その規定は、「非居住者企業による財産の間接譲渡に係る企業所得税の若干の問題に関する公告(国家税務総局公告 2015 年第 7号)」です。2015年02月3日に発布されました。

公告の内容は、中国非居住者企業が合理的な商業目的を持たず業務を実行し、中国居住者企業の持分等の財産を間接的に譲渡し、企業所得税の納税を回避した場合は、「企業所得税法」の第47条の規定に基づき、再度当該間接譲渡取引の性質を確定した上で、中国居住者企業の持分等の財産を直接譲渡したとして認定することを明らかにしました。その他、適用範囲、合理的な商業目的の判定方法、納税義務について定めています。

今回の公告の対象となる取引スキームは、日本本社(日本A会社)の他に香港子会社と中国孫会社(香港子会社の子会社)がある場合に、その日本本社による香港子会社の売却取引などが考えられます(図)。

 

 

これまで、このような取引は間接譲渡と呼ばれ、中国では譲渡課税の対象ではありませんでした。中国非居住者企業が中国国外の会社持分を譲渡する場合、持分譲渡益が中国源泉所得であるか否かの判断は、原則として投資先の所在地(上記事例では香港)によって決められていたためです(企業所得税法実施条例7条 3号)。ところが、今回の公告により、間接譲渡によって発生した譲渡益は、不当に企業所得税を回避していると判断された場合は、課税対象であると定められました。今後は、直接中国現地法人が関係しない組織再編やM&A等を行う際は、十分な注意が必要です。

 

【公告原文URL】http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1491377/content.html

 

以上です。

 

 

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