こんにちは、中国・上海の安孫子 悠治 (アビコ ユウジ)です。
今日は日中社会保障協定についてお話します。
2011年から正式に開始した日中両国間社会保障協定交渉でしたが、2018年に入りようやく実務的な動きを示しました。
2018年5月9日、日中首脳会談において、「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」(日中社会保障協定)の署名が行われました。
2011年に「中華人民共和国保険法」が施行されて以降、中国域内で就労する外国人は中国の社会保障制度に加入することが明確となりました。
これにより、日中両国それぞれから派遣されている駐在員等について、日中双方の年金制度に二重に加入を義務付けられる問題が生じています。
今回の日中社会保障協定は、このような問題を解決することを目的としており、この協定が効力を生ずれば、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、原則として、派遣元国の年金制度のみに加入することになります。
本協定が無事に締結されれば、企業及び駐在員等の駐在国での老齢年金が免除され、日中両国の人的交流及び経済交流が一層促進されることが期待されます。
老齢年金とは日本では国民年金及び厚生年金を指し、中国では被用者基本老齢保険を指します。
日本が今回の協定を締結するためには、国会の承認が必要となります。
これにより企業及び個人の社会保険料納付額が企業収益に与える影響を分析したうえで、人員の雇用形態やそれに伴うコストを試算する必要があります。
また、その試算結果によっては、人員の給与福利厚生を整理し、改めて再検討する必要が生じます。
日中社会保障協定の実施細則としての行政協議書については公表されておらず、本協定の内容に対する具体的な解釈及び実務上の取扱いは明確になっていません。
引き続き、本協定の動向に注目する必要があります。
今日は以上です。
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