外資の導入‐上海医療の改革政策が明らかに【中国設立支援/東京コンサルティンググループ】

外資の導入-上海医療の改革政策が明らかに

近年、国際資本市場の医療分野への関心は大いに高まってきています。2009年、中国の医療体制改革の動きは顕著なものとなり、この傾向は益々強固なものになっています。政府が一連の政策を公表し、民間からの医療機関への投資を呼び込もうと目論んでいます。多元的な病院経営形態を導入するための政策を打ち出すことにより、これから病院経営に外資が参入する可能性は一層高まります。

医療分野の改革に伴って投資のビッグチャンスが出てきます。その要点は以下の3点です。
一、 市場規模は巨大です。衛生医療管理部門からの開示によると、上海に現在公立の病院は約500軒に達し、専門家の見積もりによると、その中に医療経営改革を行う予定の病院が全体の30%に当たる概ね150病院あります。外資、国内民間資本、または公的機関による投資活動は競争の激しい戦国時代の到来を予感させます。
二、 医療機関への投資に関する規制は緩和されています。上海市政府のスポークスマンによれば、WTO加入関連の協定によって、現時点で外資が病院へ投資する場合は、中国の衛生部と商務部の規定に基づき、持分100%の病院を設立することできません。従って、中国との合弁で病院を開設することが必須になります。その場合投資総額は最低2000万元の人民元(円換算:おおよそ3億円)からで、中国側の出資額は30%以上が条件とされています。
三、 投資形態については様々な方式が認められます。例えば、資本参入を通じて公立医療機関への経営に参与することができ、また現医療機関への買い付けによって合併買収(M&A)も可能です。

経済専門家は、今回外資による病院への投資はいくつかの注目すべき点があると見ています。

一、 国の言語に拘る言語別渉外合資病院。
主に外国籍の従業員と家族のニーズに合わせてサービスを提供し、医療市場の中で上海のハイエンドの病院です。
現在上海の外資の病院は出身国などによって5種類に分けられます。
1、 英語を母国語とする国の出身者を主要なサービスの対象とする病院;
瑞新国際医療センターなど。
2、日本人向けの病院;
HSBCビルに日系銀行が集まっており、ビルの中に開業した日系病院の経営は順調で発展の余地はまだまだあります。
3、韓国人への対応病院;
韓国は中国との間のビジネスに力を入れております。中国は対外商業貿易の重要なパートナーになっているため、韓国人流入は年々増加しています。そのため、韓国人の医療機関へのニーズも高まって、現在、民営の博愛病院、徐匯区中心病院はすべての韓国人に向けて医療センターを特設しています。
4、台湾人をターゲットとする病院;
台湾人の集中する生活地区、ビジネス地区で、すでに台湾出身者のための医療センターが開設されています。
5、香港人対応型病院;
例えば、港華医院のように、香港資本が参加することによって、香港流の運営を実現し、香港の出身者に対してとても魅力があるものになっています。

二、 会員制病院の創設
外国籍ホワイトカラー階層が診察を受ける際使うのは大半は加入している商業保険会社の医療保険ですので、その保険の保険料は会社が支払う(全部または一部)ので、費用の高低にそんなに気にする必要はないことという事実があります。診察料金、検査料金、薬代などは普通病院の約10倍です。しかし、サービスの質が高くて外国人富裕層は喜んで受け入れます。上海の一部の病院はすでに会員制を推進することを始めています。その加入に必要な手順については、一般的に第1回は診察していただいて、その費用一定が額に達したところで、入会金を支払った後会員になります。会員限定には毎年一回無料健康診断、24時間の訪問サービス、インターネットを通して、世界各地の専門家に診察してもらうことなどいろいろな特典が設けられています。会員制病院は高収入の階層にとても人気があり、会員制病院の人気が高まることに伴い、サービスに応じて報酬が支払われるプライベートの医師の職種も誕生しています。

三、 国内の資金の動きについて
今年8月に、中国医療投資フォーラムが海南で開催されました。フォーラムでは、2001年以来国内資本の医療機関に対する関心の度合いがますます高くなっていることが明らかになり、医療市場への投資資金は驚異的なスピードで集まっているため、最も保守的な見積もりでも200億元以上に達しています。今回のフォーラムでも医療分野への旺盛な投資意欲は衰えを知らないことが明らかになりました。実際の経営にかかわることに関心を持って、中国医療業界以外の大企業グループ、例えば華源、徳隆、清華紫光、レノボー、実徳、中信はすでに力強い投資を行う意向を表明しました。その中でも、大鵬、徳隆、レノボー系財閥は準備資金をそれぞれ4.5億元、10億元と1億ドルに達することが分りました。一旦これらの大財閥の動きが具体化すると、国内の医療業界の合併買収にかかわる競争はかなり激しいものになるだろうと考えられます。このような状況下、外資企業は、国内の現行の政策に基づいて、国内の資本と才能と結び付き、これらと協力する方式で運営しなければならないため、投資するにまずは中国側のパートナーを探すことを先行課題とすべきです。

四、 医療投資管理会社の創立
現在、上海の医療市場は資金不足と言うよりは、資産運用に熟知し、かつ管理に精通した経営のできる人材を欠いていると言うことができます。北京中南病院は今年9月に数千万元の資金で上海長航病院に資本参加し、制度を改めて、上海で初めての「国有民営」(国有病院のまま、民間資本が一部参入して実質的な経営を行っている)の病院を創立して、この病院は依然として国有の上海長江汽船会社に組織上属していますが、管理は北京中南病院に所属の会社によって行われています。張中南氏は、医学修士、博士の学位を持ち、米国アーカンソー州整骨科の研究所の所長を経て、有名な膝関節の専門家です。彼は北京で中南病院と所属の管理会社を創設し、病院の経営管理を始めました。現在彼が管理している新しい長航病院の運営は良好です。外資系は国内外で張氏のような人材を物色しているのは、上海長航病院のような方式を投資ビジネスのモデルと考えているからです。
(「中国経緯ウェッブ」の情報により作成いたしました。無断転載は禁止です。)

※この記事は2009年8月に作成された記事です。

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