こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日は、企業年金・職業年金に関する個人所得税課税繰延優遇政策についてお話します。
2014年1月1日より、企業年金・職業年金積立金分の個人所得税について、給与額の4%まで課税繰延処理ができるようになります。 例えば、1カ月の給与が6,000元で、年金積立が300元の従業員の場合、240元(6,000元×4%)までの積立金に関して、個人所得税課税額から繰り延べ控除することができます。つまり、個人所得課税額は5,760元【6,000 – 240】になります。また、投資運用収益の課税も繰り延べることができます。なお、年金を受け取り時期まで繰り延べ可能です。
現在、中国においては、年金危機問題があります。実際、年金の積立不足額は、計1,205億6,000万元(約2兆円)までに達しました。(中国養老金発展報告2013より)さらに、その不足額は年々増加しています。その主な背景には、少子高齢化と定年退職年齢の低さが挙げられます。少子高齢化については、60歳以上の人口は、2010年からの40年間で2倍以上に増え、2050年には4億3,800万人に達すると推測されています。(国連推計)定年退職年齢については、中国では一般的な定年退職年齢は男性60歳、女性50歳となっており(地域により異なる)、受け取り時期が早すぎると考えられています。現在、中国国民からの反発が大きいものの、定年退職年齢の引き上げが検討されています。
今回の税金優遇政策は、アメリカ(401K)や日本(確定拠出年金)等で導入されている税制優遇と同じものです。優遇政策が行われることにより、年金積立額が増え、年金危機解決と経済活性化が期待されています。実際、アメリカでは401K導入により、金融市場が拡大したと言われています。
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参考:企業年金、職業年金による個人所得税についての問題に関する通知http://www.chinatax.gov.cn/n2226/n2271/n2272/c608717/content.html