Q 今までは中国に出張することが多くありましたが、次月より中国子会社へ出向することになりました。税金の支払いはどのように変わりますか。中国の納税区分について教えてください。
A
中国税法では「居住者」と「非居住者」の区分で税務上の扱いが変わります。
一般に、下記のとおりと認識していて問題ありません。
・子会社に赴任して常駐して仕事にあたっている方は「居住者」
→ 中国で個人所得税の納税義務がある。
・日本から出張して現地で仕事をして帰国する方は「非居住者」
→ (短期滞在者免税規定に合致する場合)中国で個人所得税の納税義務がない。
もう少し詳細に説明すると、法律では下記のとおり規定されています。
《個人所得税法第一条》
中国国内に住所がある個人、あるいは住所はない満1年居住している個人は、中国国内と中国国外から得た所得について個人所得税を納税する。
中国国内に住所又は居住がない、あるいは住所がなくかつ1年未満の居住の個人は、中国国内で取得した所得について個人所得税を納税する。
一般的に、駐在員は「満1年居住している個人」に該当し、出張者は「1年未満の居住の個人」に該当します。
なお、「住所がある個人」とは、基本的には中国人と考えていただいて間違いはありません。
《個人所得税法実施条例第二条》
中国国内に住所がある個人とは、戸籍・家庭・経済利益関係により、中国国内に習慣的に居住する個人をいう。
また、満1年という言葉に引っかかる方がいるかもしれません。
満1年とは、中国国外への出国日数が1回あたり30日以下あるいは累計90日以下の場合は、満1年以上居住していることになります。
駐在員でも、「1回あたり30日以下あるいは累計90日以下」の出国を行っていれば、納税区分が変更になるため、ご注意ください。
《個人所得税法実施条例第三条》
満1年とは、一納税年度において、中国国内に365日居住することをいう。臨時に出国する場合、居住日数を控除しない。臨時に出国するとは、一納税年度において、一回あたり30日を超えない、あるいは、累計で90日を超えない出国をいう。
なお、納税義務判定のための中国国内居住日数の計算は、下記のとおりです。
《国税発[2004]97号》
中国国内に住所がない個人は、実際に中国国内に逗留した日数を以て居住日数を計算するが、入国や出国の日は一日として計算する。
なお、非居住者の中国での納税金額を計算するときの日数計算では、入国や出国日は半日として計算されます。納税義務判定の計算方法と納税金額算出の計算方法が違うため、注意が必要です。