カンボジア会社設立・登記
目次
カンボジア進出形態・進出方法
外国企業がカンボジアでビジネスを行う際には、有限責任会社の設立、支店、駐在員事務所の設置などの進出形態から選択可能です(会社法271条、以下、特に指定がない場合は同法に基づきます)。
その他の進出方法としては、パートナーシップや個人事業もあります。
なお、日系企業がカンボジアに進出する場合、非公開株式会社による進出が最も一般的です。
カンボジアに現地法人を設立
有限責任会社(LLC:Limited Liability Company)
有限責任会社は、すべての株主が間接有限責任を負う形態で、非公開会社(Private Limited Company)と公開会社(Public Limited Company)に分かれます(85条)。カンボジアでのLLCは株主による有限責任を定義しており、日本での株式会社に該当します。
・ 非公開会社(Private Limited Company)
株主は2名以上30名以下で設立され、株式の譲渡に制限があります。株主が1名の場合は、単独株主有限責任会社(Single Member Limited Company)となります。
単独株主有限責任会社と非公開会社の違いは、株主相互間の関係を除けばほぼ同じ扱いです(86条)。
・ 公開会社(Public Limited Company)
株式の上場を前提とし、証券取引所を通じて公衆から株主を募集して資本調達を行います。
非公開会社と公開会社の主な違いは、株式の募集方法や株主構成の自由度にあり、以下の通りです。
カンボジアに支店を設立
支店(Branch)は、本社や本店から離れた地域で本店と同様の営業活動を行うために設立されます。カンボジア法により、外国法人や外国人に禁止されている業務を除き、定期的な物品販売やサービス提供、製造・加工・建設業務も可能です(278条)。
・支店の資産は本店の資産であり、本店は支店の債務に対して責任を負います(279条)。
・支店はカンボジア国内で設立された会社と同様の法的責任や納税義務を負います。
・支店はQIPの適用対象外です。
カンボジアに駐在員事務所を設立
駐在員事務所には、商務代表事務所(Commercial Representative Office)、商務連絡事務所(Commercial Relations Office)、代理店(Agency)の形態があります。
主に情報収集などの非営利活動を目的として設置され、カンボジア国内での販売・サービス提供、生産・建設業務は行えません。
・業務は市場調査、展示会開催などに限定されます。
・現地従業員との雇用契約、賃貸借契約、水道光熱費の契約などを除く契約の主体にはなれません(274条)。
・多くの場合、親会社への情報収集のために設立されます。
カンボジアのパートナーシップとは?
パートナーシップ(Partnership)は、利益を目的として2名以上が共同で事業を行う契約を指します(8条)。医師、弁護士、会計士など専門家に適した形態です。
カンボジアにおけるパートナーシップは、一般パートナーシップ(General Partnership)と限定パートナーシップ(Limited Partnership)の2種類に分かれ、日本でいう持ち分会社に近いイメージです。
【一般パートナーシップ(General Partnership)】
・口頭または書面による契約が可能(9条)で、法的書類は必須ではありません。
・商業規則および商業登記に従い登記された場合、動産・不動産の所有、契約締結、訴訟提起が可能(12条)です。
・パートナーシップから生じる利益・損失は各パートナーに分配(23条)され、債務は共同または個別で負担することになります。債権者はまずパートナーシップ全体に対して債務履行を求め、その後、各パートナーに対して個別に請求することができます(42条)。
・各パートナーは債務について無限責任を負います。
【限定パートナーシップ(Limited Partnership)】
・限定パートナーシップは、業務執行権・代表権を持つ一般パートナーと、出資のみを行う限定パートナーで構成されます。
・一般パートナーは、負債に対して共同または個別に責任を負います(75条)。
・限定パートナーは、出資額を限度に責任を負い、持分に応じて利益を受け取ります(71・72条)。
カンボジアで個人事業
個人事業(Sole Proprietorship)は、一名の個人が所有する企業で法人格は持ちません。
・個人と企業が同一視され、口座・資産・契約は個人事業者名義で登録されます。
・登記手続きは法人より簡易で、事業開始も容易ですが、利益は全て個人に帰属し、負債や義務について無限責任を負います。
・利益には個人所得税が課され、現地法人と同様に月次申告義務があります。
カンボジア事業拠点設立フロー


