こんにちは、ベトナム、ハノイ駐在員の浅野です。
Q,ベトナムに赴任する日本駐在員の保険についてなのですが、現地の強制保険は、社会保険、健康保険、雇用保険とあり、健康保険は外国人の加入義務があるとのことですが、現地の健康保険制度は、日本人が実際に利用できるものなのでしょうか。
A,強制保険のうち健康保険については、外国人は加入義務があるため加入されている方もいらっしゃるかと思います。健康保険は傷病について国が治療費を負担するというものです。
結論からいうと日本人がこの制度を利用するのはかなり無理があると思います。
簡単に健康保険の制度を説明します。まず加入の際には、会社所在地がある地区の保険制度を利用できる病院を選択します。地区とは、ハノイ市、Hung Yen省といった省レベルではなく、その下の地区です。
よってハノイ市であれば、HaiBa Trung区、Dong Da区のような狭い範囲の中で病院を選択することになります。また、地区にある全ての病院が選択できるわけではなく、健康保険制度の適用が可能な病院に絞られます。毎年社会保険事務所より発表があります。
おおよそ一つの地区に二つ、三つの病院もしくは診療所から選択します。
評判がよい病院は、加入者が集中してしまうため、ある年は選択可能であっても翌年は選択ができなくなったりもします。
もちろん外資系の病院は選択できません。
結果として地区や年度によってはクオリティの高い病院は選択できないということが発生します。
私の主観的な意見も含まれますが、ベトナムのローカル病院のクオリティは非常に低いと言わざるを得ません。
保険適用が可能な病院の診断や施設等を見たこともありますが、医療についての知識のない私でも明らかにおかしいであろうとわかる診断・治療がされていたり、入院用のベッドが木製の板に御座を敷いてあるだけであったり、病室にエアコンがないというのも特に珍しいことではないというクオリティです。
正直日本人がそういった病院で診断を受けるのは、診断を受けることほうがリスクが高いという状況です。
また病院側も保険制度を利用しての診断に消極的であるため、現状として健康保険制度は使いづらいものとなっています。
ベトナム人のスタッフにとってもあまり機能しない健康保険の制度であり、日本人の駐在員にもこの健康保険制度を利用させることは無理があり、実際の病院の診断は逆に危険でもあります。
健康保険の加入義務はあったとしても別途海外用の障害保険を付すなりの対応が必須と考えます。
なお、2018年度からは社会保険及び雇用保険についても外国人の強制適用が開始されますが、こちらも同様に日本人が利用可能な制度であるかどうかはかなり疑わしいという現状です。
制度として改善されることを望みます。