2026.10.15
ビザ投資環境
皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファーム タイ拠点の坂田です!
私自身、タイへ赴任してから、日系企業のVisa・Work Permitや、駐在員の滞在管理に関するご相談に関わる機会が多くあります。
タイで働く外国人にとって、ビザやWork Permitの取得・延長だけでなく、90日レポート、再入国時の手続き、TDAC(Thailand Digital Arrival Card)の提出など、日常的に確認しなければならない入国管理手続きは少なくありません。
特に日本人駐在員の場合、タイ国内でのビザ延長に加え、日本への一時帰国や海外出張もあるため、入国時の手続きと滞在中の手続きをそれぞれ管理する必要があります。
こうした中、タイ入国管理局(Immigration Bureau)は2026年9月25日、外国人向けの新しい公式アプリ「THIM(Thai Immigration Application)」を正式発表しました。
THIMは、現在利用できるTDAC提出機能に加え、将来的にはビザ延長、90日レポート、入国管理局の予約なども統合することを目指しています。
今回は、THIMで現在利用できる機能、今後追加予定のサービス、そして日系企業の駐在員管理にどのような影響があるのかを解説します。
本記事の結論
THIMは、タイ入国管理局が提供する外国人向け公式アプリで、TDACの提出や旅行関連情報の確認などを一つのプラットフォームで行えるサービスです。
2026年10月15日時点で、ビザ延長、90日レポート、居住証明書の申請、入国管理局の予約などは今後の追加予定機能であり、THIMからすべての入国管理手続きを完結できるわけではありません。
日系企業にとっては、今後の手続きのデジタル化に備えるとともに、現時点では従来のビザ・Work Permit管理や申請期限の確認を継続することが必要です。
THIMとは?タイ入国管理局が発表した新しい公式アプリ
THIM(Thai Immigration Application)とは、タイ入国管理局が外国人の入国・滞在関連手続きを一元化するために開発した公式デジタルプラットフォームです。
2026年9月25日、タイ入国管理局はTHIMを正式発表しました。
アプリ自体は同年8月1日からApp Store、Google Play、Huawei AppGalleryで提供されており、正式発表までに60万件以上のダウンロード、58万人以上の利用者を記録したと公表されています。
今回の発表で注目されるのは、THIMが単なるTDAC提出アプリではなく、将来的に外国人の入国から滞在中の行政手続きまでを扱う「Digital Gateway」として位置付けられていることです。
タイ入国管理局は、外国人旅行者の増加に伴い、空港や国境検問所での対応能力に限界が生じていることを背景に、行政手続きのデジタル化を進めています。
THIMは、外国人の利便性を向上させるだけでなく、本人確認や情報管理の効率化を図ることも目的としています。
THIMでは現在どのような手続きができる?
2026年10月15日時点で、THIMの中心的な機能はTDACの提出と、旅行関連情報・特典を提供する「Explore Thailand」です。
現在利用できる機能
- TDAC(Thailand Digital Arrival Card)の提出:タイへ入国する外国人が渡航前に提出するデジタル到着カードで、THIMを利用することでスマートフォンから登録できます。
- Group Application:家族や同行者など複数人の到着情報をまとめて登録できます。
- Trip Management:登録した渡航情報を確認・管理できます。
- Explore Thailand:タイ国内の観光情報や提携サービスに関する情報・特典などを確認できます。
今後追加される予定の機能
- Visa Extension:タイ国内での滞在許可の延長
- 90-Day Report:90日ごとの住所報告
- Queue Booking:入国管理局等の予約
- 居住・滞在に関する証明書の申請、対象者向けのVisa on Arrival関連サービス
ただし、これらの追加機能については、正式な利用開始日や具体的な申請方法がまだ明らかになっていません。
そのため、現時点ではTHIMですべての入国管理手続きを完結できるわけではなく、ビザ延長や90日レポートについては、従来の申請方法を引き続き利用する必要があります。
THIMを利用するとTDACの提出方法は変わる?
THIMの導入によりTDACをアプリから提出できるようになりましたが、従来の公式ウェブサイトからの提出も引き続き利用できます。
TDACは、2025年5月1日に導入されたThailand Digital Arrival Cardの略称で、外国人がタイへ入国する際に必要となるデジタル到着カードです。
タイへ入国する外国人は、原則として入国日を含む到着前3日間にTDACを提出する必要があります。ただし、タイの入国審査を通過しない乗継客など、一部の例外があります。
例えば、10月18日にタイへ入国する場合、10月16日からTDACを提出できます。
これまでは主にタイ入国管理局の公式ウェブサイトから提出していましたが、THIMの導入によってアプリからも登録できるようになりました。
THIMでは、渡航情報の管理や同行者を含むグループ登録なども利用できます。
ただし、TDACそのものの法的位置付けが変更されたわけではありません。
また、TDACはビザではなく、入国前に提出する到着情報です。
Non-B Visaを取得している場合や、BOIの外国人就労手続きを利用している場合でも、TDACの提出要否は別途確認する必要があります。
なお、TDACの提出は無料です。第三者による有料申請サイト等と混同しないよう、公式アプリまたは公式ウェブサイトを利用することが大切です。
THIMでビザ延長ができるようになる?
タイ入国管理局は、THIMへVisa Extension(滞在許可延長)機能を追加する計画を発表していますが、2026年10月15日時点では正式な利用開始日は確認されていません。
現在、タイで就労する外国人の多くは、Non-Immigrant B Visaなどに基づく滞在許可を取得し、必要に応じてタイ国内で延長申請を行っています。
通常の企業で働く外国人と、BOI奨励企業の外国人では、申請窓口や必要書類、手続きが異なる場合があります。
そのため、THIMにビザ延長機能が追加されたとしても、すべての外国人が同じ条件・方法で申請できるようになるとは限りません。
今後確認したいのは、一般企業のNon-B Visa延長だけでなく、BOI企業の外国人手続きとの連携がどの範囲まで進むのかという点です。
特にBOI企業では、外国人のポジション承認、就労資格、滞在許可などが関係するため、THIMの新機能が導入された場合でも、BOI側の申請制度との関係を確認する必要があります。
現段階では、THIMの正式発表だけを理由に、既存のビザ延長手続きを変更する必要はありません。
90日レポートもTHIMから提出できるようになる?
90日レポートもTHIMへの統合が予定されていますが、現時点では従来の申請方法を引き続き利用する必要があります。
タイでは、外国人が継続して90日を超えて滞在する場合、原則として入国管理局へ現在の住所を報告する義務があります。
この手続きは一般に「90-Day Report」と呼ばれ、Immigration Act B.E.2522(1979)のSection 37(5)に基づいています。
90日レポートは、ビザ延長やWork Permitの更新とは別の手続きです。
例えば、Non-B Visaを1年間延長している場合でも、継続してタイに滞在していれば、原則として90日ごとの住所報告が必要になります。
一方、タイから一度出国して再入国した場合には、通常、再入国日から90日間の計算が始まります。
現在は、入国管理局のオンラインシステムなどを利用して90日レポートを行う方法があります。
今後THIMに同機能が統合されれば、スマートフォンからの申請や報告状況の管理がより便利になることが期待されます。
ただし、THIMの導入によって90日レポートの義務がなくなるわけではありません。
企業側では、従来どおり駐在員の入国日、出国日、再入国日、報告期限を管理しておく必要があります。
THIMの導入でNon-B VisaやWork Permitの制度も変わる?
THIMは入国管理サービスのデジタル化を目的とするアプリであり、今回の発表によってNon-B VisaやWork Permitの取得要件が変更されたわけではありません。
タイで外国人が働く場合、入国・滞在に関する許可と、就労に関する許可は区別して考える必要があります。
一般的に、Non-B Visaはタイでの事業活動や就労等を目的とする外国人が利用するビザの一つです。
一方、Work Permitはタイ国内で外国人が就労するための許可に関する制度です。
両者は関連していますが、同じものではありません。
また、BOI奨励企業では、外国人技術者や専門家について特別な受入れ手続きを利用できる場合があります。
今回THIMが正式発表されたからといって、これらの制度が一本化されたわけではありません。
今後、入国管理局側のデジタル化が進めば、外国人の滞在管理が便利になる可能性はありますが、Work Permitの申請・更新制度については、雇用局やBOI等の所管機関の案内を引き続き確認する必要があります。
THIMでは個人情報やパスポート情報をどのように管理する?
THIMでは、パスポート情報や顔認証などの本人確認技術を活用し、個人情報の保護と入国管理上の安全性を両立する仕組みが採用されています。
タイ入国管理局は、THIMのセキュリティ対策として、電子パスポートのICチップを読み取るNFC技術、顔画像の照合、本人が実際に操作していることを確認するLiveness Detectionなどを紹介しています。
また、個人情報の送受信・保存時の暗号化、アクセス制御、操作履歴の記録なども採用されています。
THIMの個人情報保護に関する取扱いは、タイのPersonal Data Protection Act B.E.2562(2019)、いわゆるPDPAなどの関連法令に基づくものです。
2026年10月9日付のTHIM公式Privacy Noticeでも、本人確認、入国管理、セキュリティ審査、サービス提供、記録管理などが個人情報の利用目的として示されています。
日系企業が駐在員のTDAC提出などを支援する場合、パスポート番号、渡航情報、滞在先住所などの個人情報を取り扱うことになります。
そのため、会社側でも情報の共有範囲や保存方法を整理し、公式アプリを利用しているかを確認することが必要です。
THIMは日系企業の駐在員管理にどのような影響がある?
THIMの導入は、日系企業が行う駐在員の入国・滞在管理を将来的に効率化する可能性がありますが、現段階では既存の社内管理体制を維持する必要があります。
タイに進出している日系企業では、日本人駐在員のVisa・Work Permitに加えて、90日レポート、Re-entry Permit、TDACなど、複数の手続きを管理しているケースがあります。
特に、駐在員本人が海外出張や一時帰国を行う場合、タイへの再入国に必要な手続きや滞在許可の有効期限を事前に確認する必要があります。
例えば、日本へ一時帰国する駐在員については、必要なRe-entry Permitを取得しているか、タイへ戻る際のTDAC提出が必要か、再入国後の90日レポートの期限がいつになるかなどを整理する必要があります。
THIMが今後これらの入国管理手続きに関する情報を統合すれば、外国人本人がスマートフォンから手続きを確認しやすくなることが期待されます。
ただし、企業側が注意したいのは、アプリの導入と申請義務の変更を混同しないことです。
THIMが正式発表されたことによって、現在のVisa・Work Permitや90日レポートの期限管理が不要になるわけではありません。
また、THIMへの将来的な機能追加に伴い、申請画面、必要書類、本人確認方法などが変更される場合には、社内マニュアルや駐在員向け案内の更新が必要になることも考えられます。
THIMを利用する際に注意したいことは?
THIMを利用する際は、公式アプリを使用すること、現在利用できる機能と今後導入予定の機能を区別すること、従来の申請期限を引き続き管理することが基本です。
まず、THIMはタイ入国管理局が提供する公式アプリです。アプリをダウンロードする際は、提供元がタイ入国管理当局であることを確認する必要があります。
また、TDACの提出は無料であり、有料の代行サイトや類似サービスを公式の申請窓口と誤認しないよう注意が必要です。
さらに、THIMにビザ延長や90日レポートの機能が今後追加されるとしても、実際に利用できるまでは従来の方法で手続きを進める必要があります。
駐在員の滞在期限が近づいている場合に、「新しいアプリで申請できるようになるまで待つ」という判断は避けるべきです。
新しいサービスの利用開始日や対象手続きについては、タイ入国管理局の公式発表を確認することが必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1.THIMをダウンロードすれば、TDACを公式ウェブサイトから提出する必要はありませんか?
THIMからTDACを提出した場合、同じ渡航について公式ウェブサイトから重複して提出する必要はありません。TDACは従来の公式ウェブサイトからも提出できるため、利用者は公式アプリと公式ウェブサイトのいずれかを選択できます。ただし、TDACの提出義務そのものがなくなったわけではありません。
Q2.2026年10月現在、THIMからビザ延長や90日レポートを申請できますか?
2026年10月15日時点では、ビザ延長と90日レポートは今後導入予定の機能として発表されています。そのため、現時点では従来の申請窓口やオンラインシステムを利用する必要があります。正式な開始時期や利用条件については、タイ入国管理局からの追加発表を確認してください。
Q3.THIMの導入によってNon-B VisaやWork Permitの申請方法も変更されますか?
今回のTHIM正式発表によって、Non-B VisaやWork Permitの取得要件が変更されたわけではありません。THIMは入国管理手続きのデジタル化を進めるためのプラットフォームです。Work PermitやBOI外国人手続きについては、それぞれの所管機関が定める申請要件・手続きを引き続き確認する必要があります。
実務上のチェックポイント3選
① THIMで現在利用できる機能と今後の予定を区別する
THIMはすでに利用可能ですが、ビザ延長や90日レポートなどの機能は今後導入予定です。アプリの正式発表を理由に、既存の申請方法や期限管理を変更しないよう注意が必要です。新機能の利用開始については、入国管理局の正式な案内を確認しましょう。
② 駐在員の出入国・滞在期限を引き続き管理する
THIMでTDACの提出が可能になっても、Visa、Re-entry Permit、90日レポート、Work Permitなどはそれぞれ別の手続きです。特に海外出張や日本への一時帰国が多い駐在員については、再入国日や滞在許可の有効期限を引き続き管理する必要があります。
③ 公式アプリの利用と個人情報管理を徹底する
THIMではパスポート情報、渡航情報、顔認証などの個人情報を扱います。会社が駐在員の申請を支援する場合は、公式アプリ・公式サイトを利用し、パスポート情報や渡航情報の共有範囲を適切に管理することが大切です。
まとめ
2026年9月25日、タイ入国管理局は外国人向けの公式アプリ「THIM」を正式発表しました。
THIMは2026年8月1日から提供されており、TDACの提出や渡航情報の管理、旅行関連サービスなどを利用できます。
さらに、今後はビザ延長、90日レポート、入国管理局の予約、居住証明書の申請、Visa on Arrivalなどの機能を追加する計画が示されています。
今回の発表は、タイ政府が外国人の入国・滞在管理をデジタル化し、手続きの利便性を高めようとしている動きの一つです。
日系企業にとっても、将来的には日本人駐在員の入国管理手続きを効率化するきっかけとなる可能性があります。
一方、2026年10月15日時点では、ビザ延長や90日レポートなどの新機能は導入予定段階です。
そのため、現時点では従来の申請方法を継続しながら、今後のTHIMの機能追加と入国管理局の正式発表を確認する必要があります。
企業側では、Visa・Work Permit、TDAC、90日レポート、Re-entry Permitなどの手続きを引き続き適切に管理し、デジタル化に合わせて社内の運用を見直していくことが求められます。
東京コンサルティングファームのサポート
東京コンサルティングファームでは、タイに進出する日系企業およびタイ現地法人向けに、Visa・Work Permit、BOI、会社法務、人事労務、会計・税務などのサポートを行っています。
日本人駐在員のNon-Immigrant B VisaやWork Permitの取得・更新、BOI企業の外国人受入れ手続き、90日レポート、Re-entry Permitなど、タイでの外国人の入国・滞在管理に関する各種手続きを支援しています。
タイの入国管理制度やVisa・Work Permitに関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。
本記事は2026年10月15日時点で確認できる公表情報に基づいて作成しています。
タイの入国管理制度、Visa・Work Permit制度、THIMの機能および行政運用は変更される場合があります。具体的な案件については、最新の法令・当局の公式発表をご確認のうえ、専門家へご相談ください。
参考資料
- タイ入国管理局(Immigration Bureau)「THIM – Thai Immigration Application」公式アプリ・公式Privacy Notice
- タイ国営通信社(Thai News Agency / MCOT)、2026年9月25日「Immigration Bureau Launches THIM App to Digitally Streamline Tourist Services」
- The Nation Thailand、2026年9月25日「Thailand launches THIM as digital gateway for foreign visitors」
- Khaosod English、2026年10月2日「Thailand launches THIM app as digital gateway for foreigners」
- Immigration Act B.E.2522(1979)、Section 37(5)
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