皆さんこんにちは!東京コンサルティングファーム タイ拠点の石田です。タイ投資委員会(BOI)から投資奨励を受け、法人税の免除・減免(Corporate Income Tax Exemption)の優遇措置を活用している日系企業は数多く存在します。最大8年間にわたる法人税免除(CIT Holiday)は非常に魅力的なインセンティブですが、「認可証(BOI Certificate)をもらったから安心」というわけではありません。

実際には、日々の会計処理や年次報告の運用を誤った結果、歳入局(Revenue Department)の税務調査で「免税対象外」と判定されて追徴課税を受けたり、BOIから認可条件違反とみなされて優遇措置が取り消されたりするトラブルが実務上、問題となるケースがあります。

本記事では、BOIの法人税免除を安全に維持するために企業が押さえておくべき実務ポイントと、よくある税務トラブルを解説します。

BOIにおける法人税免除期間(例:3年、5年、8年等)のカウントは、原則として投資奨励証(Promotion Certificate)の発行日ではなく、奨励対象事業から最初の収入が発生した日(first issued invoice)から起算されます。

ただし、Production Efficiency Enhancement Measuresなど、一部の制度では起算方法が異なるため、個別のPromotion Certificateおよび適用されるBOI制度を確認する必要があります。

Q. 免除期間の開始日を誤るとどんなリスクがありますか?

免除期間のカウント開始日を誤って認識していると、免除期間終了後の売上に対して無申告(追徴課税)が発生したり、逆に本来免除されるべき期間の優遇を受け損ねたりするリスクが生じます。プロジェクト稼働時の初売上日(Invoice発行日)は、BOI申請時のスケジュールと照らし合わせて厳格に管理する必要があります。

BOIの法人税免除の運用において、タイ歳入局の税務調査やBOIの年次審査で特に指摘されやすい3つのポイントです。

区分会計とは、1つの法人内でBOI認可事業と未認可事業を並行して行う際、両者の収益・費用を明確に分けて管理する実務上の必須要件です。

1つの法人内で「BOI認可事業」と「BOI未認可(Non-BOI)事業」を並行して行っている場合、両者の収益・費用を明確に分ける「区分会計(Segment Accounting)」が義務付けられます。

  • よくあるミス:本社管理部門の給与、オフィスの家賃、光熱費などの「共通費用(Common Expenses)」を適切に按分せず、すべてNon-BOI事業の費用に押し込んでNon-BOI側の課税所得を不当に圧縮してしまうケースです。歳入局から合理的な按分基準(売上比率や直接作業時間比率等)を求められ、否認されるリスクがあります。

BOI認可証には、年間生産能力(Capacity)や対象となる製品・サービスが指定されています。

  • よくあるミス:事業の拡大に伴い、BOI認可証に記載された製品・サービス、製造工程、生産能力などの条件を超えて事業を行う場合には、免税対象利益の取扱いやBOI条件違反の有無について確認が必要です。事業拡大により認可内容を超える可能性がある場合は、実行前にBOIへ変更申請・確認を行うことが重要です。

BOIの関税免除制度を活用して輸入した機械や設備は、原則として認可されたBOI事業専用として使用しなければなりません。Non-BOI事業へ無断で流用したり、事前許可なく他社へ売却・譲渡したりした場合、過去に免除された関税・VATの遡及追徴やペナルティが発生します。

法人税免除の優遇を維持するためには、毎期の決算・申告において適切な手続きを行う必要があります。

  1. 公認会計士(Auditor)による「BOI監査レポート」の取得:法人税免除の優遇を利用する場合、原則として、licensed auditorによるBOI認可条件の遵守状況および事業実績に関する報告書を準備し、BOIのe-Taxシステムを通じて申請します。BOIの現行手続きでは、会計年度終了後120日以内の提出・承認が必要とされています。
  2. 法人税申告(P.N.D.50)での税務調整:BOI事業とNon-BOI事業それぞれの損益を計算し、確定申告書上に正しく反映させます。
  3. BOIシステム(e-Tax Exemption)での免税利用申請:法人税申告を行う前に、BOIの電子システム上でその期の免税利用申請を行い、BOIからの承認(Approval)を得る必要があります。

BOIの法人税免除は節税効果が極めて大きい反面、「区分会計のロジック」「上限生産能力の管理」「BOI電子申請と税務申告の整合性」など、高度な会計・税務実務が求められます。

「自社の区分会計基準が歳入局から否認されないか不安」「BOIの免税枠をオーバーしていないかチェックしたい」という企業様は、ぜひ東京コンサルティングファーム(タイ拠点)までお気軽にご相談ください。

東京コンサルティングファームでは、タイに進出している日系企業向けに、BOI、会社法務、会計・税務、労務、Visa・Work Permitなど、現地法人運営に関するサポートを行っています。

BOI企業における区分会計の設計・レビュー、年次コンプライアンス、BOI監査レポートの取得支援についても、企業の状況を確認しながら対応方法をご案内しています。

【免責事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的・税務上の助言を構成するものではありません。BOIの投資奨励制度、税制および行政運用は変更される場合があります。具体的な案件については、最新のBOI告示および当局の運用をご確認のうえ、専門家へご相談ください。

株式会社東京コンサルティングファーム タイ拠点
石田 愛佳