皆さん、こんにちは!東京コンサルティングファーム タイ拠点の石田です!

はじめに:滞在日数と国外からの送金に注意していますか?

タイで勤務する日本人駐在員や現地法人の経営者にとって、法人税と並んで重要なのが「個人所得税(Personal Income Tax:PIT)」の管理です。

特に近年、タイ歳入局(Revenue Department)による「国外で発生した所得に対する課税ルール」の運用が変更されたことで、「日本で受け取っている給与や資産をタイに送金した場合の税金はどうなるのか?」というご相談が日系企業から急増しています。

本記事では、タイ国内法(歳入法典第41条)に基づく居住者の定義や、知っておくべき課税ルール・実務上の注意点を分かりやすく解説します。

タイの個人所得税における「居住者」の判定基準(180日ルール)

Q. タイの税法上で「居住者」とみなされるのはどのような人ですか?

【直接回答】タイの歳入法典第41条に基づき、1月1日~12月31日の1年(暦年)において、タイ国内に通算180日以上滞在した個人が「タイの居住者」となります。居住者として判定された場合、タイ国内で発生した所得だけでなく、海外からタイに持ち込んだ(送金した)所得に対しても課税対象となります。

個人所得税の基本ルールは以下の通りです。

① 180日判定のポイント

  • 連続して180日滞在する必要はなく、1年間の中での累計滞在日数でカウントされます。
  • 出張や一時帰国などで出国していても、合計で180日を超えた時点でその年はタイの居住者となります。

② 居住者と非居住者の課税範囲の違い

区分課税範囲
居住者(180日以上滞在)タイ国内源泉の所得 + タイ国内へ送金(持ち込み)した国外源泉所得
非居住者(180日未満滞在)タイ国内源泉の所得のみ(国外所得をタイに持ち込んでも非課税)

2024年以降の「国外所得送金ルール」の強化

タイの居住者にとって最もインパクトが大きいのが、歳入局通達(No. Paw 161/2023等)による国外所得の持ち込み課税ルール改定です。

旧ルールと現行ルールの違い

区分内容
旧ルール(2023年まで)国外(日本等)で得た所得(給与・配当・不動産収入・株の売却益など)であっても、「所得を得た年とは異なる翌年以降にタイに送金した場合」は非課税とされていました。
現行ルール(2024年以降~現在)2024年1月1日以降に発生した所得(2023年以前の所得は対象外)は、タイの居住者がその所得をタイ国内へ送金・持ち込んだ場合、原則として送金・持込みを行った年の個人所得税の課税対象となります。

※国外所得をタイ国内で使用・送金する場合には、その資金の性質や所得発生時期、送金額等を確認し、課税関係を整理する必要があります。

日本人駐在員の給与実務(本国給与・Gross-Up計算)

日系企業の駐在員で多い「日本とタイの2ヶ国で給与が支給されているケース(本国手取り保証)」では、以下の点に注意が必要です。

日本支給分の給与もタイで課税対象となる

日本本社の口座に振り込まれている給与や賞与であっても、それが「タイでの勤務の対価」として支払われている場合、タイ歳入局のルール上、原則として勤務実態・所得の性質・租税条約等を踏まえてタイでの課税対象(タイ国内源泉所得)とみなされます。

グロスアップ(Gross-Up)計算の必要性

現地法人が駐在員の個人所得税を肩代わりして納税している場合、その納税分も『課税対象となる給与(現物給与)』として取り扱われるため、税金を給与に上乗せして手計算する「Gross-Up(グロスアップ)計算」を行って申告する必要があります。

よくある質問(FAQ)

Q1.個人所得税の確定申告(P.N.D.90/91)の期限はいつですか?

翌年の3月末日(オンライン申告の場合は4月8日頃)です。1月1日~12月31日までの1年間の所得をまとめ、翌年3月末までに申告・納税を行います。申告が遅れると、月1.5%の延滞税などのペナルティが課されます。

Q2.国外所得をタイに送金したら、日本とタイで二重課税になりませんか?

日タイ租税条約に基づき「外国税額控除」の適用が可能です。日本ですでに所得税が納められている場合、タイでの申告時に日本で支払った税額分を差し引いて二重課税を調整する仕組みがあります。ただし、一定の要件および控除限度額のもと、適切な立証書類の添付が必要です。

まとめ:個人所得税の税務リスクを事前に防止する

タイの個人所得税は、「180日以上の滞在判定」や「国外所得の持ち込み課税」など、駐在員個人だけでなく現地法人の労務・税務にも直結する重要な分野です。

「本国支給給与の税務処理が正しくできているか不安」「日本からの資金送金に伴う税務リスクを相談したい」という企業様は、ぜひ東京コンサルティングファーム(タイ拠点)までお気軽にご相談ください。

株式会社東京コンサルティングファーム タイ拠点
石田