皆さん、こんにちは!東京コンサルティングファーム タイ拠点の松木です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。今回は、タイの「国籍不正取得と「名義貸し」摘発強化が日系企業に与える影響」についてお話していきます。

タイ内務省が発表した虚偽の出生登録取り消し事件と、連動して一段と厳しくなっている「ノミニー(名義貸し)取り締まり」、およびビザ・ワークパーミット(WP)審査の最新動向についてご紹介します。

タイ東北部で虚偽の出生登録50件を抹消、中国人が関与

タイ内務省は、タイ東北部などで外国人が関与する虚偽の出生登録が行われていたとして、不正に発行された出生登録およびタイ国籍約50件を抹消しました。

  • 概要:タイ人男性を架空の父親として登録し、不正にタイ国籍を取得させた疑い(中国系グループが関与)
  • 対応:内務省による登録抹消、関係行政職員・ブローカーの摘発
  • 見直し:両親が外国人の場合の本人出頭義務化、行政・病院・入管・銀行等のデータ連携を強化

不正取得した国籍は、本来外国人に制限されている「土地の所有」や「タイ人名義での会社設立(ノミニー)」に悪用されていたとみられ、タイ政府は安全保障上の観点からも全域で調査を拡大しています。

ビザ・WP審査にも波及!「抜き打ち実態調査」が加速

ノミニー問題や不正国籍の摘発強化に伴い、ビザやワークパーミット(WP)の新規申請・更新審査における取り締まりも近年より厳格化しています。

1. オフィスの「抜き打ち調査(実地視察)」が急増またはデフォルト化へ

入国管理局や雇用局による事前連絡なしの現地視察が増加しています。「社名看板が出ているか」「実際にタイ人従業員(日本人1名につき4名以上)が勤務しているか」「デスクや設備等の事業実態があるか」「全従業員の名簿とIDカード提示」等、より厳密に確認されています。

2. 申請書類・資本金の裏付け精査

法人登記上のタイ人株主51%について、実際の資金出所や社会保険(ソーシャルセキュリティ)の加入状況、PND1(源泉徴収税)の提出状況など、ペーパーカンパニーでないかを厳しくチェックされています。

日系企業への影響と今すぐ確認すべきこと

直接的な違反を行っていなくても、合弁会社や現地拠点を持つ日系企業にとって審査遅延や実務上の影響が生じています。早めに以下を点検しておきましょう。

  • オフィス環境・看板の整備:登記住所に実際のオフィスが存在し、看板や勤務実態が整っているか
  • タイ人従業員の雇用と社保手続:WP要件を満たすタイ人スタッフが実際に勤務し、社保等の手続きが適正に行われているか
  • タイ人株主の出資実態:51%のタイ人株主について、資金出所や株主としての実態が説明できるか(名義貸しと疑われないか)
  • 各種申請スケジュールの見直し:実地調査や書類審査の厳格化に伴い、ビザ・WP更新に従来以上の時間がかかる可能性を考慮できているか
  • タイ人従業員人数と給与:タイ人従業員(日本人1名につき4名以上)が実際に勤務していることに加え、給与が各県の最低賃金を上回っているか

【特にご注意いただきたいポイント】

外国人とタイ人の比率が「ちょうど1:4」で運用されている企業は、ノミニー使用や書類合わせを疑われるリスクが非常に高くなっています。ビザやWP申請後に担当官が抜き打ち調査にやってくる事例が、バンコク都内やチョンブリ県などを問わず多数報告されています。

よくある質問(FAQ)

Q1.なぜ虚偽の出生登録がビザやWP審査の厳格化につながるのですか?

不正国籍や名義貸し(ノミニー)を利用した実態のない「ペーパーカンパニー」を作り、そこで不正なビザやWPを発給させる手口が横行したためです。当局は法人実態と就労実態の双方から監視を強めています。

Q2.抜き打ち調査(実地視察)に来た場合、どのような点がチェックされますか?

オフィスの実在確認、社名看板、日本人・タイ人スタッフの勤務状況、デスクやパソコンなどの設備、写真撮影などが実施されます。

Q3.ビザ・WP更新にあたり、企業側で今からできる対策はありますか?

登記情報とオフィスの現況を一致させ、税務・社会保険の申告書類を遅滞なく揃えておくことが重要です。申請手続きは余裕をもってスケジュールを組みましょう。

まとめ

タイ政府は、不正な国籍取得や名義貸し(ノミニー)への包囲網を強めるとともに、ビザ・ワークパーミットの発行におけるオフィス実態調査(抜き打ち検査)や審査の厳格化を進めています。

日系企業としては、形式的な書類作成にとどまらず、「事業実態・雇用実態の透明性」をしっかりと証明できる体制を整えておくことが大切です。渡航や更新の手続きには十分な準備期間を確保し、コンプライアンスを徹底して運用していきましょう。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!

株式会社東京コンサルティングファーム タイ拠点
松木