タイデュアルユース品目の輸出管理が本格始動
2026年7月30日より、タイではデュアルユース品目(Dual-Use Items:DUI)の輸出許可制度の運用が開始されます。
まずは、原子力関連(カテゴリー0)が対象となり、今後2027年7月までに電子機器やコンピュータ、情報セキュリティ、航空宇宙などを含む全カテゴリーへ段階的に拡大される予定です。
タイから製品や部品を海外へ輸出している企業にとっては、今後の輸出管理体制に大きな影響を与える制度改正となります。
デュアルユース品目(Dual-Use Items)とは
デュアルユース品目とは、民生用途にも使用できる一方で、軍事転用される可能性がある製品・技術を指します。
例えば、特殊材料、工作機械、電子機器、コンピュータ、通信機器、情報セキュリティ関連製品、レーザー、センサー、航空宇宙関連部品などが対象となります。
日本企業でも「輸出管理」「安全保障貿易管理」という名称で管理されている分野であり、日本本社では既に運用している企業も多いでしょう。
今回開始される制度の概要
今回施行される制度では、対象となるデュアルユース品目をタイ国外へ輸出(再輸出を含む)する際には、商務省外国貿易局(DFT)の輸出許可(ライセンス)が必要になります。
今回の対象である、カテゴリー0(核物質・原子力施設・関連装置)は適用開始日として、2026年7月30日となります。
なお、ライセンス申請自体は2026年6月30日から受け付けられています。
今後のスケジュール
| 時期 | 対象カテゴリー |
| 2026年7月30日 | カテゴリー0(原子力関連) |
| 2026年中 | カテゴリー7〜9 |
| 2027年7月まで | カテゴリー1〜6 |
対象となるカテゴリーには、電子機器、コンピュータ、情報セキュリティ、特殊材料、工作機械、センサー、レーザーなど、日本企業が日常的に取り扱う製品も数多く含まれています。
そのため、多くの製造業・商社に影響する制度になることが予想されます。
日系企業が確認すべきポイント
現時点では原子力関連のみが対象ですが、今後は対象品目が大幅に増加する予定です。
そのため、タイ法人では以下の点を確認しておくことをおすすめします。
① 自社製品がデュアルユース品目に該当するか確認する
まずは輸出している製品・部品が対象品目に該当するか確認しましょう。
② 日本本社との輸出管理体制を確認する
日本本社では既に輸出管理部門を設置している企業も多くあります。タイ法人でも本社と連携し、同じ基準で管理できる体制を整えることが重要です。
③ 社内フローの整備
対象品目を輸出する際に、誰が確認するのか、ライセンス申請が必要か、必要書類は何かなどの社内ルールを整理しておくことが望まれます。
今後求められる輸出管理体制
今回の制度導入は、単なる輸出手続きの変更ではありません。タイでも国際的な安全保障貿易管理の水準に合わせた制度整備が進められていることを示しています。
今後は輸出ライセンスだけでなく、社内コンプライアンス、輸出管理体制、エンドユーザー確認、該非判定なども重要性が高まる可能性があります。
まとめ
今回開始される輸出許可制度は、まず原子力関連品目のみが対象ですが、2027年7月までに全てのデュアルユース品目へ対象が拡大される予定です。
現時点では影響を受けない企業であっても、今後対象となる可能性があります。
特に製造業や商社など、タイから海外へ製品を輸出している企業は、早い段階から自社製品の対象有無や社内管理体制を確認しておくことをおすすめします。
松木 祐里香
東京コンサルティングファーム タイ拠点
会計・税務・法務など幅広い分野でタイ進出企業をサポート。現地の最新規制動向をわかりやすく発信しています。