皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの渡辺 寛です。
今週はメキシコの月次平均貨幣性資産及び負債をご紹介します。
質問)
前回のブログでメキシコでは、月次平均貨幣性資産及び月次平均貨幣性負債によってインフレ調整をかけた数字を課税所得として益金または損金計上するとお伺いいしました。
では、具体的に月次平均貨幣性資産及び月次平均貨幣性負債とは、どのような科目が該当するのでしょうか。
回答)
まず、月次平均貨幣性資産や月次平均貨幣性負債が具体的にどのように計算されるのかがわからない方は、弊社濱咲が前回ブログを記載しておりますので参考にして頂ければと思います。
それでは下記にて月次平均貨幣性資産及び月次平均貨幣性負債に対する該当する勘定科目を記載いたします。
① 月次平均貨幣性資産
・預金
・売掛金
・未収入金
・貸付金
・支払超過IVA及び仮払税金など
② 月次平均貨幣性負債
・買掛金
・借入金
・前受金
・未払金
・未払費用
・未払税
具体的には主に上記の勘定科目をそれぞれ貨幣性資産及び貨幣性負債として計算することとなります。インフレ調整分を損金として計上するためには、上記の資産を大きくする必要があり、負債をできるだけ小さくする経営を心掛ける必要があります。
但し、上記の勘定科目であってもそれぞれ貨幣性資産及び貨幣性負債とみなされない場合があります。
例えば下記に該当する場合、貸付金とみなされません。
(1) 貸付先が個人である場合。事業活動目的以外の貸付である場合。
(2) 国外に居住する個人又は団体である株主及び共同出資者に対する貸付金の場合。
また上記に記載されている未払費用のうち、損金不算入費用として計上されるものは、対象になりません。
それから当然かもしれませんが、売掛金や買掛金などが発生した際の取引がキャンセルされた場合は、その売掛金及び買掛金は貨幣性資産及び貨幣性負債とはみなされませんのでご注意いただければと思います。
その他にも細かい注意点がありますのでメキシコ所得税法44条を確認する必要があります。
メキシコでは、大統領も変わり、それによってインフレ率及びINPC(消費者物価指数)がどのように変化していくのかは、法人所得税や税務上の減価償却費など様々な面に影響を及ぼします。過去の大統領及びその就任期間におけるインフレ調整の影響を見ても、それぞれの期間において差が大きいところとそうでないところがあります。今後どれくらい大きくインフレ率が変化するのかは予測が難しいため、インフレの影響に注意した経営を心掛ける必要があります。
渡辺 寛