今回はメキシコの株式会社の機関設計に必要な要素のうち、法定代理人についてお話します。
メキシコにおいて新規で会社設立を行う場合には、ほとんどのケースで法定代理人を定めることとなります。法定代理人とはその名の通り、”法的に定められた代理人”のことで、会社運営における各種権限とその責任を持つ者のことです。
法定代理人としての効力を有するためには、株主総会の決議を経て法定代理人として登録されていること、そしてメキシコ現地の居住者であることです。ここで言う、メキシコ現地の居住者とはメキシコ国籍の者、もしくはFM3ビザ(テンポラリーレジデントカード)以上のステータスを持っている外国人者に限られます。
発起人は、当該法定代理人に会社設立後に必要となる各種手続等を委任することになります。法定代理人の権利の範囲は会社公正証書の中において限定することができ、委任の範囲を会社の設立に限定するのか、その後のビジネスに関する範囲まで委任するのかを選択する必要があります。
ここで注意したいのは、FM3ビザはすぐに取得できないということです。メキシコに新規で会社を設立したとしても、法定代理人の存在がなければビジネスを遂行することができません。たとえば、「唯一代表取締役」はFM3ビザ所有者でなくてもメキシコにおける代表権を得ることができるので会社は設立できますが、法定代理人を設定しなければ、会社に代表者はいるけれども、各種書類にサインするサイン権者(サイン権者はFM3ビザが必要)がいないという事象が起こってしまうのです。
また、FM3ビザを持っていたとしても個人のRFC(納税者番号)も有していなければ、手続によっては法定代理人として認められないケースもあるため、法定代理人として登録する際には、その方がRFCを有しているかどうかも確認することが必要です。
以上、お読みいただきありがとうございました。
なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。