今回はメキシコの株式会社の機関設計に必要な要素のうち、株主総会についてお話します。
株主は株主総会を通じて会社の活動や方針などを決定します。株主総会の決議において、取締役会または唯一代表取締役の義務や活動範囲が決定されます。株主総会については商事会社一般法の178条~206条に定められています。
[株主総会の種類]
株主総会には、通常株主総会と特別株主総会があります。通常株主総会については、発行済株式(議決権)の過半数を有する株主の参加により、法的に招集が認められ、当該参加株主の過半数の賛成により決議されます(商事会社一般法189条)。
特別株主総会については、発行済株式(議決権)の75%超を有する株主の参加により、法的に招集が認められ、当該参加株主の過半数の賛成により決議されます(190条)。
通常株主総会による決議事項については商事会社一般法181条において、以下のように列挙されています。
・決算の承認
・役員、監査役の変更
・役員、監査役報酬の決定
一方特別株主総会による決議事項については商事会社一般法182条において、以下のように列挙されています。
・会社の存続期間の延長
・会社の期限前の解散
・会社資本の増加もしくは減少(可変資本制度不採用)
・会社の事業目的の変更
・会社国籍の変更
・会社の組織変更
・他会社との合併
・優先株式の発行
・自己株式の会社による消却、および享益株式の発行
・社債の発行
・会社契約の、いずれを問わない他の変更
・法律もしくは会社契約が特別の定足数を要求する、その他の事項
ただし、上記に列挙された事項を主としながらも、実際には特別株主総会決議事項以外の事項については、通常株主総会によって定められるという位置付けのようです。
上記以外の決議事項としては、代表権の授権・撤回、可変資本の増減等があります。
[開催時期]
通常株主総会は少なくとも年に1回、事業年度終了後4カ月以内(12月決算のため4月末まで)に行わなくてはなりません(商事会社一般法181条)。
[開催場所]
通常株主総会と特別株主総会のいずれにおいても、会社の登記住所で開催します。
[招集権者]
株主総会は、少数株主等によって招集される場合を除き、取締役会、議長、秘書役、取締役、または監査役により招集されるものとされています(商事会社一般法183条、185条)。
[招集通知]
株主総会の招集通知は、開催の15日前までに、官報または会社所在地で広く流通している主要新聞(官報がない場合)で公告するものとされています(商事会社一般法186条)。
また、通知には、総会の議題、開催日時および場所を記載するものとし、招集者の署名がなされていなければならないものとされています(187条)。
ただし、会社の所在地外に在住する株主がいる場合には、会社名簿に記載された連絡先に、国際郵便、Eメール、FAX等の各方法により、株主総会の開催の15日前までに通知するものとされています。
[株主総会の議長]
定款に別段の定めがあるときを除き、株主総会では、取締役または取締役会(これらの両者が欠ける場合には出席株主)が指名した者が議長となります(商事会社一般法193条)。
[議決権の代理行使]
株主は、事前に代理人を選任することで、代理人を通して総会での権利を行使することができます。ただし、代理人が持つ代理権は、定款が定める形式により付与されなければなりません。
また、取締役または会社の監査役は代理人となることができません(商事会社一般法193条)。
最後に株主総会開催における実務的なお話をさせて頂くと、ほとんどの会社では実際に株主総会を開くことはなく、書面ベースで実施しています。
株主の署名済委任状を用意して、その委任状を用いて弁護士事務所やコンサルティング会社の代理人が開催をしたとして、書面へ記録を残すという方法を取ります。
以上、お読みいただきありがとうございました。
なお、本記事は2019年10月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。