皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。
今週はメキシコの外部監査制度について記載します。
質問)
国によっては会社の規模に関わらず、全ての会社が会計士による外部監査を受けなければなりませんが、メキシコでも会計士による監査は義務になっているのでしょうか。また、全ての会社では無い場合、どのような条件の下、監査を受ける義務が生じるのでしょうか。
回答)
メキシコでは全ての会社が会計士による外部監査を受ける必要はありません。
また、メキシコではいわゆる財務会計監査の他に税務監査というものがあるのが特徴です。詳細は以下を確認ください。
【外部監査制度】
<会計監査>
メキシコでは、メキシコ証券取引委員会に登録された公開会社が会計監査を義務付けられているほか、大会社(前年度の収益が1億ペソ以上、純資産の金額が7,900万ペソ以上、社員総数が300名以上の要件を満たす会社)および大会社の関係会社は、外部監査人による監査を受けることができます。
<税務監査>
メキシコの監査制度で特徴的な点は、会計のみならず、税務の立場からも監査が行われるという点であり、そのために、メキシコにおける会計・税務監査は相当の日数がかかるものとなります。
規定上の記載の仕方としては、「公開会社、大会社およびこれらの会社の関係会社については、Dictamen Fiscal(税務監査報告書又は税務監査意見書と呼ばれる)をSAT(税務署)に提出できるとなっています。
このDictamen Fiscalの制度に関しては、以前は公開会社、大企業およびこれらの関係会社に義務付けられていましたが、2014年より原則的に自由化されています。
ただし、6億4,459万9,005ペソ以上の収益(前年度収益)がある会社は、Dictamen Fiscalを提出していない会社でもDeclaracion Informativa(関係会社取引の情報、海外への送金の情報など)の提出義務があるとされているので、その規定の立てつけは分かりづらいものとなっています。そのためDictamen Fiscalの提出要件を満たす会社については、連邦税務調査部門へ年1回の提出をするべきと考えられます。
【監査済財務諸表が必要となる場合】
・メキシコ当局によって監査済みの財務諸表を求められた場合
・銀行に対し、融資を申し入れる場合
・M&Aの対象となり、財務諸表のレビューが必要となる場合
・その他一定の場合