メキシコの航空機産業の動向について

 

今回はメキシコの航空機産業の動向についてお話します。

 

従来から、アメリカの航空機産業にとってメキシコは重要な生産拠点となっていました。さらに、メキシコが航空機産業を次世代の成長産業として位置付けているため、今後に期待のかかる産業です。

 

現在の規模は2016年の輸出額は71億USドルとなっており、2004年から毎年平均17.6%上昇しており、メキシコ政府は2020年には輸出額120億USドル、関連企業500社、雇用者数11万人規模に育成し、世界のトップ10入りを目標に掲げています。

 

ケレタロ州や北部国境地帯の各州には航空機産業が多く進出しており、2016年の事業所の数は330ヵ所超と、2008年の169ヵ所社からは約1.4倍、2006年の109ヵ所に比べると約3倍に増加しています。現在の同産業の雇用者総数は53,000,人を超えています。

 

メキシコの大手監査法人の試算によれば、従業員85名の航空機部品工場の製造コストはアメリカの84.3%、人件費だけで考えるとアメリカの28.6%。いかにメキシコが高い競争力を持っているかがわかります。

 

近年はこの低い製造コストを利用し、板金やリベット加工、ハーネスやパイプ製造といった労働集約的作業をメキシコ国内で行う企業が大多数を占める一方、ハネウェル社が空調のシステムチェックのようなシステムインテグレーションをメキシコ国内で行っています。将来的には、完成機をメキシコ国内から引き渡す企業が現れる可能性が高いといわれています。

 

この背景には、メキシコの産業の特徴として、自動車産業により獲得された製造業の裾野の広さがあること、質が高く安い労働力が得られること、地理的な優位性などの条件に加え、産官学の連携やインセンティブによる政府の後押しがあることも大きな要因です。日本においても、国産航空機製造は始まっていますが、今後は、国産機の部品製造拠点としてもメキシコに期待が持たれています。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年11月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

関連記事

ページ上部へ戻る