こんにちは、中国・上海の田中勇です。本日も中国Q&Aについてお話します。
Q. 中国の移転価格の文書化について、最新の公告があったと聞きました。その具体的内容と、これまでとどう異なるかを教えて下さい。
A. 2015年3月18日に「企業が国外関連企業へ支払う費用に関する企業所得税事項に関する公告(国家税務総局公告 2015 年第 16号)」が発せられました。
第16号の公告では、中国国内企業が中国国外関連企業へ支払う費用に関する企業所得税の詳細について定めています。具体的内容は以下の通りです。
1、 企業が国外の関連会社に支払う費用に関して、独立企業間原則(関連者間の取引であっても、お互いに独立した企業間である状態と同じように取引を行うべきであるとする原則)に従わなければならず、その原則に従わなければ、税務局は調整することができる。
2、 税務局は、企業に対して関連企業と締結した契約書または協議書、及び実際に発生した取引が独立企業間原則に従っていることを証明する関連資料を提出要求することができる。
3、 効果が未履行で、リスクを負担しておらず実質的な営業活動がない国外関連企業に対して支払った費用については、企業課税所得額を計算する際に控除してはならない。
4、 企業が国外関連企業からの役務提供によって費用を支払う場合、 その役務は企業に対して直接或いは間接的な経済利益を生じさせるものでなければならない。
これまで、移転価格の文書化について、以下の条件(一つでも満たせば良い)に該当する場合は、作成義務がないとされていました(国税発[2009]2号通達第15条)。
(1) 関連企業との間の年間取引金額が、売買取引につき200百万元未満、及びその他の関連取引(サービス等)が40百万元未満であること
(2) 関連者間取引について事前確認(APA)を税務当局より得ていること
(3) 外国企業の投資持分が50%未満の企業でかつ中国国内の関連会社とのみ取引があること
ところが、今回の公告により、外国関連企業と取引がある場合は、その取引については移転価格の文書化をする必要が出てきました(「企業が国外関連企業へ支払う費用に関する企業所得税事項に関する公告の解読」の一)。
【原文URL】http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1519231/content.html
以上です。