不動産契約時の留意点

法務

バングラデシュでの会社の設立初期や事務所セットアップ時に、不動産契約書のレビューをご依頼いただくことが多々あります。バングラデシュでは宅建のような資格はなく、不動産仲介業を行う企業も極めて少ないため、不動産契約はオーナーとの直接交渉になるケースがほとんどです。オーナーの中には税法や法務に明るくないケースも多いため、後々トラブルになるケースもあります。今回は不動産契約締結時の留意点についてお伝えします。

不動産契約時に留意するポイントは以下の通りです。

  1. 税金について。

不動産賃貸料には、源泉税(TDS)、付加価値税(VAT)の2つの税金がかかります。また、この2つの税目は借り手が賃料支払い前に源泉・納付することが定められていますが、実務上は賃貸契約書上の取り決めによりどちらが負担してどちらが支払いを行うかを決定するケースが多いです。以下の4点を明確に記載することにより後々のトラブルを避けることができます。

・契約書上に「賃料」として記載されている金額には、源泉税(TDS)を含んでいるのか。

・契約書上に「賃料」として記載されている金額には、付加価値税(VDS)を含んでいるのか。

・源泉税(TDS)は借り手と貸し手どちらが納付するか。

・付加価値税(VDS)は借り手と貸し手どちらが納付するか。

 

  1. 契約主体。

稀に、法人の事務所契約にもかかわらず個人が契約者となっているケースがあります。法人が賃料を支払う場合に、法人を契約主体としていないと税務申告時に費用を否認される可能性があるので、注意が必要です。

 

  1. 使用目的について。

ダッカでは、住宅用住所と商業用住所が分かれており、商業用住所で営業活動を行うことは原則として禁止されています。また、住宅用として使用する場合には、付加価値税(VDS)が課税されません。賃貸物件の使用目的を明確にするために、社宅の場合には「Residential」、事務所として使用する場合には「Commercial」「Official」というように使用目的を明確に記載することが望ましいです。

 

 (以上)

 

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