バングラデシュへビジネス進出を検討の際の事前留意点3

 

今週も、バングラデシュに進出する際に事前に確認するべき点についてご紹介します。
前回は、『3.バングラデシュにおける外国人のビザ及びワークパーミットのルール』『4.バングラデシュは小切手社会。外国人が銀行のサイン権を取得するための条件』についてご紹介しました。気になる方は、1つ戻ってご覧ください。

 

5.サービス・モノの購入時の留意点

日本では、あまり馴染みのない「前払いの法人税(AIT)」という税制が存在しま
す。バングラデシュの場合は、サービスを受けた側、モノを購入した側が請求書の
金額よりサービス・モノのサプライヤーの法人税を源泉して翌月に納税する必要が
あります。日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)についても同様に請求書の金額
より源泉して翌月に納税する必要があります。バングラデシュの税法上、法人税及
び付加価値税の源泉と納付については、サービスを受けた側、モノを購入した側が
責任を負うことになっています。
※下記、ブログ「バングラデシュの前払い法人税(AIT)と付加価値税(VAT)につい
て」参照。
以前は、税務のコンプライアンスに対する税務署からの指摘は全ての会社にされる
ものではありませんでしたが、2018年7月の税法改定を受けて今後、税務署からの
指摘が厳しくなっていく可能性があります。

1 サービスの場合と、②モノの提供の場合では、税率が異なります。
VAT(Value Added Tax)とAIT(Advanced Income Tax)それぞれの算出方法は下記の通りです。

 

<具体例①サービスの場合>
A社がB社から9,000BDT(AITを除いたNETの金額)のサービスを受けた場合
① B社が請求書を発行する。
[請求額] サービス金額9,000BDT + VAT(15%)1,500Tk
② A社は、AIT(10%)1,000BDTを源泉した額の9,000BDTを小切手でB社に支払う。
A社は、9,000BDTに対するAIT(10%)1,000BDTとVAT(15%)1,500VATの2,500BDT分のChallan(納付書)を作成し税務署へ納付する。
AIT1,000BDT=9,000BDT×90%
VATはAIT込みの金額10,000BDTに15%をかけて計算します。
VAT=10,000×15%=1,500BDT

 

<具体例②モノの提供の場合>
A社がB社から9,800BDT(AITを除いたNETの金額)のサービスを受けた場合。
1) B社が請求書を発行する。
[請求額] モノの金額9,800BDT + VAT(5%)500Tk
2) A社は、AIT(2%)200BDTを源泉した額の9,800BDTを小切手でB社に支払う。
A社は、9,800BDTに対するAIT(2%)200BDTとVAT(5%)500VATの700BDT分のChallan(納付書)を作成し税務署へ納付する。
AIT200BDT=9,800BDT×98%
VATはAIT込みの金額10,000BDTに5%をかけて計算します。
VAT=10,000×5%=500BDT

2,500,000BDTまでのモノの購入の場合、AITは2%です。2,500,000BDTを超える場合は、金額に応じて税率が異なります。

 

次回のブログは、『バングラデシュへビジネス進出を検討の際の事前留意点4』です。

以上

 

 

Tokyo Consulting Firm Limited
齋藤かおり


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E-mail saito.kaori@tokyoconsultinggroup.com

 

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