皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ中国拠点の小林 祐介です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「【2026年9月施行】中国「小規模個人情報処理者規定」策定に伴う日系現地法人のデータガバナンス対応策」についてお話していこうと思います。

中国の「小規模個人情報処理者規定」とはどのような制度か?

【結論】 2026年9月1日施行の「小規模個人情報処理者の個人情報保護簡素化措置規定」は、個人情報取扱件数が10万人未満の小規模事業者に対し、告知義務やコンプライアンス監査等の手続負担を大幅に軽減する制度です。

中国の国家インターネット情報弁公室(CAC)および公安部は、2026年7月22日に本規定を正式公布し、同年9月1日からの施行を発表しました。

本規定により導入された主な緩和措置は、以下の3点に集約されます。

告知義務の簡素化

店舗等の目立つ場所での掲示や、サービス利用規約への掲載という簡便な手法で個人情報処理ルールを明示することが認められます。工業園区やプラットフォーム事業者が統一ルールを策定し、企業がそれに参加する場合は個別の告知ルール作成が不要になります。

コンプライアンス監査の簡素化と周期延長

従来の厳格な定期外部監査に代わり、付属の「コンプライアンス監査自己審査表」を用いた簡易的な監査を少なくとも5年に1回実施・保管することで足ります。個人情報保護の第三者認証を取得した事業者は有効期間中の合規監査が免除されます。

データ越境移転手続の免除

社内規程や労働契約に基づく従業員の「跨境HR管理(国際人事管理)」、契約履行のための移転、および年間を通じて累積10万人未満(非敏感個人情報)のデータ越境移転を行う場合は、データ出境安全評価の申請や標準合同(SCC)の締結・届出が免除されます。

日系企業のビジネスへの影響とは?

【結論】 本規定の施行により、合規対応に必要なコンサルティング費用や運用管理コストが削減され、資金効率が直接的に改善します。一方で、「緩和=対策不要」という誤解から基礎的な安全管理義務を怠るリスクが存在します。

中国に進出している日系現地法人の多くは、従業員数や顧客データの規模から見ても「取扱件数10万人未満」に該当します。そのため、本規定によるコストカットや手続負担の軽減効果は非常に大きな意味を持ちます。

特に、これまで毎年発生していた外部監査コストや、日本本社への人事データ共有時に必要とされた標準合同(SCC)策定の負担が削減される点は、財務やキャッシュフローの観点から明白なメリットです。

しかし、本規定は「手続の簡素化」を定めたものであり、「個人情報保護責任の免除」ではありません。特に注意すべきは、以下の2点です。

「敏感個人情報」や「重要データ」の取り扱い

顧客や従業員のクレジットカード情報、生体認証、医療データなどの敏感個人情報を取り扱う場合や、中国政府が指定する重要データに触れる場合は、従来通り厳格な安全評価や個別同意が求められます。

行政指導(約談)と社会的信用リスク

新規定では軽微な初犯に対する不処罰規定が盛り込まれましたが、不処罰であっても当局による「約談(事情聴取)」や「提示函(指示書)」の対象になります。これらを無視・放置した場合、行政処分が科されるだけでなく、中国の「社会的信用システム」において企業の信用格付けが引き下げられます。

日系企業が取るべき具体的な実務対応は?

【結論】 自社が保有するデータ件数と種類の正確な棚卸しを実施し、現行のプライバシーポリシーと社内規程を9月施行に合わせて改定する必要があります。

ステップ1:データの棚卸しと判定

社内で扱っている全データの種類と件数を正確に把握します。「自社は10万人未満か」「過年度の累積で超過していないか」「敏感個人情報が含まれていないか」を精査し、小規模個人情報処理者の要件を満たしているかを客観的に確認します。

ステップ2:プライバシーポリシー・社内規程の修正

新規定の要件に合わせ、告知内容をシンプルかつ分かりやすい表現に改訂します。店頭掲示や社内イントラネットでの公開など、自社の業務形態に適した簡便な開示手法を策定します。

ステップ3:国際人事データ(跨境HR管理)の整理

日本本社へ現地従業員の評価シートや連絡先を共有している場合、それが社内規程や労働合同に基づいているか再点検します。要件を満たしていればSCC締結が免除されるため、社内規程側の記述を整理して法的根拠を明確化します。

ステップ4:5年に1回の自己審査プロセスの確立

新規定の付属文書である「コンプライアンス監査自己審査表」をベースに社内点検フローを作成します。責任者と問い合わせ対応者を指定し、自己審査結果を最低5年間厳重に保管する運用を確立します。

まとめ

今回の「小規模個人情報処理者規定」の施行は、日系企業にとって過剰なコンプライアンスコストを削減する絶好の機会であると同時に、自社のデータ管理体制を正常化させるチャンスです。

「うちは小規模だから何もしなくていい」という誤った解釈こそが、今後の中国ビジネスにおける最大の経営リスクになります。

東京コンサルティンググループ(TCG)では、中国現地の最新法規に基づき、貴社データの棚卸し診断、新規定に対応した各種規約・社内規程の改定サポート、自己審査表の作成支援から現地当局対応まで、ワンストップで包括的なコンサルティングを提供しています。

データガバナンスの最適化や、具体的な実務対応についてご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に東京コンサルティンググループへご相談ください。

皆様からのご連絡をお待ちしております。

東京コンサルティングファーム 中国拠点
小林 祐介