スリランカ進出支援

スリランカの地域統括

目次

1. 株主(株主総会) ■株主数 ■株主の権利 ■株主総会
2. 取締役(会) ■取締役の人数 ■取締役の国籍・居住性 ■取締役の選任・解任 ■取締役の報酬 ■取締役会(Board of Directors) ■取締役権限の委任
3. 会計監査人 ■会計監査人の要件 ■選任・解任 ■会計監査人の権限 ■報酬の決定

1. 株主(株主総会)

■株主数
非公開会社の場合、最低2名以上の株主がいれば、会社を設立することができます。株主数(会社の従業員である者等は含まない)の上限は50名と定められており(27条b)、これを超える場合には、非公開会社でなくなります(28条)。一方、公開会社の場合には最低7名の株主が必要です。株主数の上限はありません。

■株主の権利
株主の権利には、大きく分けて自益権と共益権があります。
自益権とは、配当や残余財産の分配を受ける権利をいいます。一方、共益権とは、株主総会に参加して議決権を行使することにより経営に参加する権利をいいます。共益権の一部として、少数株主の保護規定が設けられており、一定の決議についての反対株主の株式買取請求権などを定めています(93条)。

■株主総会

●株主総会の種類
株主総会には、定時株主総会(Annual General meeting)と臨時株主総会(Extraordinary meeting)があります。

【各制度の定義・特徴】
定時株主総会臨時株主総会
内容決算の承認や役員の選任 他必要に応じて決定
招集時期事業年度末から6カ月以内もしくは前年度の定時株主総会開催日より15カ月以内のいずれか早い日15営業日前
●招集通知
会社は、株主総会の開催にあたり、株主に対して招集通知を送付しなければなりません。招集通知には、議題や事業報告などを記載する必要があります。招集通知は、同時に登記局に送付しなければなりません(137条2項)。

【招集通知発送期限】
非公開会社公開会社
定時株主総会15営業日以上前15営業日以上前
特別決議事項を議題に含む場合15営業日以上前15営業日以上前
その他の株主総会5営業日以上前10営業日以上前
【招集通知不要な場合】
非公開会社公開会社
定時株主総会総株主の同意総株主の同意
特別決議事項を議題に含む場合議決権の85%以上の同意議決権の85%以上の同意
その他の株主総会議決権の95%以上の同意議決権の95%以上の同意
●株主総会の議長
会社法上、株主総会に出席している株主は議長を務めることができる、とされているのみであり、議長についての定めは特にありません。
株主総会の決議
会社は、株主総会の開催にあたり、株主に対して招集通知を送付しなければなりません。招集通知には、議題や事業報告などを記載する必要があります。招集通知は、同時に登記局に送付しなければなりません(137条2項)。

決議内容・定足数(Quorum)・決議要件
普通決議特別決議
決議内容(92条)右記以外の決議定款の変更※
主要取引の承認
合併
減資
清算
社名、ステータスの変更
定足数(Quorum)非公開会社……2名以上
(公開会社……3名以上)
同左
決議要件過半数議決権の75%以上

※定款の変更を行った場合、決議の日から10営業日以内に会社登記局に新しい定款を提出しなければなりません(15条2項)。この通知を怠った場合には、会社および会社役員に対して5万ルピー以下の罰金が課されます(15条3項)。

議決権
定款に定めない限り、投票方法により、株主への議決権の付与方法が異なります(136条f)。
  • 挙手方式……1人1議決権
  • 投票方式……1株1議決権
ただし、①投票による決議を要求する権利を株主に与えない、②5名以上の株主もしくは総議決権の10%以上を保有する株主による、投票決議の要求を認めない、といった定款規定は無効です(140条1項)。
また、払込が完了していない株式については、議決権が認められていません(136条e)。
代理投票制度
株主は、代理人を総会に出席させることで、議決権を行使することができます(代理行使)。
書面決議とビデオ決議
議決権の85%以上の株式を保有する株主の同意がある場合には、書面による決議を行うことができます(144条1項)。ただし、定款にあらかじめ定めておく必要があります。
なお、Secretary to the Treasuryが株主の場合には、Secretary to the Treasuryの同意がなければ、書面決議を行うことはできません(144条8項)。
その他、会社法別表の定款記載例によると、定款で定めることでビデオ決議を取り入れることができるものと解釈されます。
●議事録の作成
すべての会社は株主総会の議事録を作成し、議長がサインをしなければなりません(147条)。
●登記局への報告義務
会社は、特別決議により定款の変更を決議した場合には、10営業日以内に、変更後の定款を添付して登記局に通知しなければなりません(15条2項)。この通知を怠る場合は、会社及び会社役員に罰金が課されるため注意しなければなりません(15条3項)。

2. 取締役(会

■取締役の人数
非公開会社の場合には1名以上の取締役が必要です。一方、公開会社の場合には最低2名以上の取締役が必要となります(201条)。
■取締役の国籍・居住性
国籍や居住性について、会社法上の明文規定はありません。実務上、スリランカ国籍でない者、居住者でない者であっても取締役になることができるものと解釈されています。
■取締役の選任・解任
●選任
設立時に任命された取締役は、設立の日から取締役の任務に就きます。その後は、定款に別段の定めがない限り、株主総会の普通決議により選任されます(223条)。
選任後は、取締役就任の同意書、および以下の不適格要件がないことを証明する書類を用意しなければなりません(203条)。
不適格要件
下記の要件に該当する者は取締役になることはできません(202条)。
  • 18歳未満
  • 破算した者
  • 法に違反する者
  • 精神に異常がある者
  • 法人
  • 会社の定款に定められた者
取締役の年齢制限
原則として、取締役の年齢が70歳に達した場合、会社はその取締役を引き続き取締役として任命することはできません(211条)。ただし、株主総会で株主の承認を得ている場合には、70歳を超えた者を取締役に選任することができます(同条)。
●解任
定款に特段の定めがない場合、取締役は株主総会の普通決議で解任することができます。ただし、株主総会の招集通知に、取締役の解任の議題を記載しておかなければなりません。
また、上記の他、以下のような事由が生じた場合には、取締役はその職を辞さなければなりません。
  • 自ら辞職する場合
  • 法令や定款に定められている場合
  • 欠格事由に該当した場合
  • 死亡した場合
  • その他定款の定めにしたがって職を辞する場合
    • 取締役が1名の場合、その取締役が辞任するには株主総会を開催し、新たな取締役を選任しなければなりません(208条)。
■取締役の報酬
取締役の報酬は、定款に定めるか株主総会の普通決議により事前に認められている場合、取締役(会)が決定することができます(216条)。
■取締役会(Board of Directors)
会社法上、取締役会の設置義務については触れられていませんが、取締役が1名の場合にはその取締役が意思決定を行うことになると考えられます。取締役が複数いる場合には、取締役会で合議により会社の意思決定を行うことになります(529条解釈)。
ただし、会社の総資産の50%以上を超える金額を取り扱うような一定の重要な取引については、定款に別段の定めがない限り、株主総会特別決議によって株主の承認を得なければなりません(185条)。
スリランカの会社法では、取締役会についての規定はほとんど存在しません。しかし、会社法別表1の定款記載例があり、スリランカの標準的なルールを理解することができます。
取締役会の開催場所
会社法上、特段の定めがありません
取締役会の招集
会社法上、特段の定めがありません
取締役会議長
会社法上、特段の定めがありません
取締役会の決議
会社法上、特段の定めがありません
取締役会の書面決議
取締役会の書面決議は、日本の会社法では禁止されている制度です。一方、スリランカの会社法では規定がないため、定款にあらかじめ定めておけば、書面決議を行うことができます。
■取締役権限の委任
取締役会は、取締役により構成される委員会を設置して、委員会に権限を委任することができます。さらに特定の取締役や従業員などに一定の権限を委任することができます(186条)。

3. 会計監査人

原則として、すべての会社は監査人(Auditor)を設置しなければなりません。監査人は、会社が作成する財務諸表を監査して、監査報告書を作成する者をいいます。

■会計監査人の要件
監査人に選任される者は、スリランカ勅許会計士協会(Chartered Accountants of Sri Lanka)のメンバーであるか、登録監査人(registered auditor)でなくてはなりません(157条1項)。
ただし、公開会社の場合には、スリランカ勅許会計士協会のメンバー(勅許会計士)でなければなりません(157条2項)。
また、下記の要件に該当する者は、監査人になることはできません(157条3項)。
  • ①会社のパートナー、取締役、もしくは従業員
  • ②会社の清算人、管財人
  • ③法人
  • ④関連会社のパートナー、取締役、従業員、清算人、もしくは管財人
  • ⑤過去2年以内に①・②であった者
■選任・解任
IHQとして認定されると5年から10年間(最長20 年)の期間に渡り、所得の増加分(経営、サービス、販売、貿易、ロイヤルティ)に対して5%もしくは10%の軽減税率が適用されるほか、個別のインセンティブ・パッケージ(IHQ Award)が適用されます。
●会社設立時の監査人選任(First Auditor)
設立時監査人は、最初の年次株主総会の前に、取締役会において選任することができます。任期は、最初の年次株主総会までとなります(159条)。
■会計監査人の権限
●会社情報の入手
監査人は、会計記録やそれに関係する書類を閲覧することができることができます。また、必要な場合には取締役や従業員に対して説明を求めることができます。これらの要求を監査人から受けたにも関わらず、その要請に応えない場合や、虚偽の報告を行った場合には、その取締役や従業員は、罰金を科されることになります(164条)。
●株主総会への出席
監査人は、株主総会へ出席することができます。そのため、取締役は、株主総会の開催地や開催時期等を監査人に対して通知しなければなりません。
また、取締役は、監査人に対して、株主が質問できる機会を提供しなければなりません。
上記の規定に違反がある場合には、取締役は10万ルピー以下の罰金を払うことになります(165条)。
■報酬の決定
監査人の報酬は、選任した者が決定することになっています。株主総会決議によって監査人を選任した場合は株主総会、もしくは株主総会で決定した方法によって報酬額を決定します。また取締役会が選任した場合には取締役会、登記局が選任した場合は、登記局が報酬額を決定します(155条)。

■グローバル・トレーダー・プログラム(GTP)

■GTPの適用要件
グローバル・トレーダー・プログラム(GTP:Global Trader Program)とは、オフショア貿易活動の拠点としてスリランカに卸売の統括会社を置く企業へ対する優遇制度です。当該制度は、エネルギー商品及び製品、農産物及び食料品、工業製品等に係る国際貿易取引を行い、スリランカを周辺地域の貿易センターとして活用する企業に適用されます。適用要件の詳細は以下の通りです。
【GTPの適用要件】

1

中・大規模の国際的な会社であり、適格製品の貿易、調達、流通、輸送を実施する会社

2

・オフショア貿易の地域統括拠点としてスリランカを活用する会社(経営管理を含めた事業活動および補助機能を有する)
・ビジネスと投資計画の調整
・財務管理と財務機能
・市場開発と計画
・倉庫保管や貨物輸送サービスなどの物流サービス

3

国際的なネットワークを持ち健全性を有する会社

4

・オフショア貿易活動を主要に行うこと
・スリランカで多額の支出を伴うこと
・スリランカで多くの熟練者を雇用
・スリランカの銀行、財務サービス、及びそれらの補助的なサービスを活用すること(貿易、物流、貿易機関、貿易の仲裁等)
・スリランカで貿易専門家の人材育成、トレーニングを行うこと

5

以下の形式的要件を満たすこと
-年間売上が1億USドル以上
-国内ビジネスにおいて年間でS$300万を支出
-最低3名以上の貿易専門家を有すること(調達、セールスマーケティング、リスクマネジメントのいずれかに関与する)(シ ニアマネージャーを含み、現地人でも海外駐在員でも可)

■GTPの優遇内容
GTPを付与された企業は、所定の商品や製品の貿易業務から生じた利益に対して5年間にわたり 5%または 10%の軽減税率が適用されます。その後、適用要件を満たすことにより 5 年間の延長が可能になります。
■GTPの適用要件
グローバル・トレーダー・プログラム(GTP:Global Trader Program)とは、オフショア貿易活動の拠点としてスリランカに卸売の統括会社を置く企業へ対する優遇制度です。当該制度は、エネルギー商品及び製品、農産物及び食料品、工業製品等に係る国際貿易取引を行い、スリランカを周辺地域の貿易センターとして活用する企業に適用されます。適用要件の詳細は以下の通りです。

5. 金融・財務センター (FTC:Finance&Treasury Centers)

金融・財務センター(FTC:Finance & Treasury Centers)とは、アジア地域内の関連会社に金融・財務サービスを提供する多国籍企業に対して適用される優遇税制です。
当該制度は、スリランカ政府が世界の金融センターを目指し定めたもので、下記表(FTCの適用要件)の要件を満たす場合に、10%の軽減税率などの優遇税制が適用されます。

■FTCの適用要件

FTCは、スリランカ国外の関連会社や関係会社へ金融・財務サービスを提供する多国籍企業に適用されます。要件の詳細は以下の通りです。

・年間経費75万Sドル以上の事業を行うこと(支払利息を除く)
・専門スタッフを3人以上雇用すること
・3社以上の子会社に対して、3つ以上の金融サービス業務を提供すること
なお、上記要件はあくまでも目安とされ、金融サービスの内容については次のように規定されています。このうち、3つ以上の機能を有することが必要となります。

・スリランカの金融機関もしくは、グループ会社の剰余金からの資金でのクレジットファシリティ(与信枠)の手配
・ファイナンスアドバイザリー
・保証・証券・予備信用状の供与や送金に関するサービス
・デリバティブ取引の手配
・スリランカ国外の関連会社の資金管理
・経済や投資に関する調査や分析
・信用情報の管理や制御
・管理業務全般
・事業計画の策定

■FTCの優遇内容
金融統括会社の要件を満たす場合、財務・資金管理・調達のサービスから生じる所得や配当に対して、最大10年間、10%の優遇税制が適用されます。
【FTCの優遇内容】

1

(1)

MAS(Monetary Authority of Singapore)に認定された子会社に対する適格サービスから得られる所得、自己の勘定で行う適格活動から得られる所得

(2)

利息、配当、株式・社債取引、金利スワップ、財務オプションから得られる所得

2

スリランカ国外への借入利息、社債利息の支払について源泉税が 最長10年間免除されます。

■スリランカにおける地域統括会社の活用事例

■株式会社伊藤園

[事業構成の概要]

株式会社伊藤園は、2012年6月に地域統括会社として『伊藤園 アジアパシフィックホールディングス』(100%子会社)をスリランカに設立しました。飲料水の販売やマーケティングのほか、地域統括会社を拠点として域内の消費者動向や嗜好に関する情報収集を統括し、同地域の消費者にあった製品開発を手がけていく狙いです。
また、同年10月には、販売会社として『伊藤園 スリランカ』を、販路開拓・流通・物流に強い『BP de Silva Holdings Pte.Ltd.』と共同出資(※伊藤園の出資割合は90%)で設立しました。当面は日本から輸入したものを販売しますが、近いうちにミャンマーやベトナムに工場を建設し、製造拠点として活用する予定となっています。
※ミャンマー・ベトナムに製造拠点を設けて、被統括会社とする場合は、地域統括会社による出資による方法もしくは、親会社による出資で設立したのちに、組織再編を行う必要があります

【スリランカ地域統括会社を利用した事業構成】

[軽減税率を利用した資金還流手法及びその内容・メリット]
スリランカ地域統括会社における軽減税率の適用においては、販売会社での売上に対して、いかに資金還流を行うかが重要なポイントとなります。伊藤園を例として、資金還流について解説していきます。

サービスフィー
伊藤園の地域統括会社では、商品の販売に加えマーケティング・市場調査等を行っており、これらの役務について、サービスフィーとして子会社から資金回収を行っていると考えられます。また、スリランカ地域統括会社において、法人税の軽減税率が適用されると共に、サービスフィー及び貿易所得に関する源泉税の減免措置も適用されます。
※今回の伊藤園の場合、販売も行っておりますが、地域統括割合の規制に抵触しない範囲での売上に留める事が必要となります。

ロイヤルティ
地域統括会社が子会社に対して技術移転等を行った場合、対価としてロイヤルティを受取ります。なお、スリランカ国内において受領する国外源泉所得については課税対象となるため、ロイヤルティに対して課税されます。

配当金
海外の子会社が稼得した利益を還流する方法としては、配当により行うのが一般的です。配当により資金を還流した場合には、通常、源泉地国において配当金の支払時に源泉課税されます。
受取配当金についての取り扱いは各国で異なりますが、スリランカにおいては原則、該当事業年度において送金時に課税対象となります(詳細は3章をご参照ください)。
スリランカにおいて課税対象となる場合、源泉税及び配当金に対する税の二重課税となるので、救済措置として受取配当金についての免税が認められています。配当金課税減免の適用要件は以下のとおりです。

[その他の地域統括会社設置のメリット]
地域統括会社には、上記にあるような軽減税率による活用が一般的ですが、スリランカの立地や地域統括会社の機能それ自体のメリットが活用できます。伊藤園が将来的にミャンマーやベトナムを製造拠点として利用するのも、これらのメリットを十分に活かす戦略と言えます。

アジア近接地帯による物流コストの削減
「伊藤園 スリランカ」は当面の間日本から製品を輸入する方針ですが、将来的にはミャンマーやベトナムを製造拠点として活用する意図があります。スリランカは地理的にアジアの中心に位置しているため、物流コストを低減させることが可能となります。また、為替に関するコストも低減させることが可能です。詳しくは次項で説明します。

外貨建て資金の保有による為替リスクの低減
例えば製造拠点のミャンマーから販売市場のタイへ製品を送り、販売する場合、本来であればミャンマー「チャット」と、タイ「バーツ」での取引を行うので、為替差損益が発生します。
これに対し、スリランカでは複数の外貨建て口座を開設することが可能となります。したがって、物流は直接ミャンマー・タイ間で行い、トランザクションとしてスリランカを間に介入させることで、取引の相殺処理による管理効率化及び為替差損益の集約によるリスク低減が可能となります。

[地域統括会社活用におけるリスク]
これまで挙げてきた軽減税率・その他のメリットを享受するに際して、注意すべきリスクが何点かあります。地域統括会社設立・運用に際して、事前にこれらのリスクを把握し、対応策を講じておく必要があります。

移転価額税制
詳細は6章の地域統括会社の税務リスクでも述べますが、物流の拠点として地域統括会社を利用し、その際の関連会社異国間取引における価額が妥当でないと判断された場合、当該税制が適用されます。具体的には、妥当でない価額で取引を行った場合における納付税額が、適正価額で取引を行った場合における納付税額よりも少ない場合、その差額分を追徴課税するといったものです。
移転価額税制の調査は年々厳しくなっており、『移転価額文書』や『国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類』等の事前準備は最低限必要になるものです。

タックス・ヘイブン税制
タックス・ヘイブン税制とは、海外子会社を持つ企業の租税回避を図る行為を排除する制度です。スリランカにおいてはタックス・ヘイブン税制の規定はありませんが、日本側での規定は存在し、移転価額税制と同様に事前対応すべきリスクとなります。 
タックス・ヘイブン税制が移転価額税制と決定的に異なる点は、その適用要件にあります。移転価額税制は価額の妥当性といった不確定要素についての検証を行うのに対し、タックス・ヘイブン税制はその適用要件が明確に規定されています。したがって、移転価額税制に比べ、対策が簡易となっています。また、「タックス・ヘイブン税制の適用除外」の規定も設けられています。

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