皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループマレーシア拠点の長山毅大です!
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さて、今回は「電子請求書「e-Invoice」の義務化対象が拡大 -2026年7月1日より、年商RM100万超の事業者・関連会社・新設法人などが対象に-」についてお話していこうと思います。
背景
マレーシアでは現在、税務行政のデジタル化と企業間取引の透明性向上を目的として、内国歳入庁(LHDN/Lembaga Hasil Dalam Negeri)が電子請求書(e-Invoice)制度を段階的に導入しています。e-Invoiceは、政府のプラットフォーム「MyInvois」を通じて請求データをリアルタイムで検証する仕組みであり、2024年8月以降、年商規模の大きい事業者から順に義務化が進められてきました。こうした段階的導入の一環として、これまで対象外とされていた一定カテゴリーの事業者についても、新たに2026年7月1日より義務化の対象に加わることとなりました。
制度概要
e-Invoiceは、所得税法に基づきLHDNの「MyInvois」システムで検証されるデジタル記録です。従来のSST(売上・サービス税)における税インボイスとは別個の制度である点に留意が必要です。2026年7月1日より、年商RM100万超の事業者に加え、年商RM100万超の企業の関連会社・子会社、および新設法人など一定のカテゴリーが新たに義務化の対象となりました。なお、SST登録事業者の場合、同一の取引についてSST用の税インボイスとe-Invoiceの双方の対応が必要となるケースがあるため、実務上の対応に注意が必要です(詳細は後述の補足を参照)。
開始時期・緩和措置
本制度の対象拡大は2026年7月1日より開始されます。2026年7月1日以降(緩和期間)開始日から6か月間は「e-Invoicing緩和期間」として、取引ごとの個別発行に代えて月次の連結(consolidated)インボイスの発行が認められます。最低要件を満たしている限り、この期間中は罰則が科されません。緩和期間終了後緩和期間の経過後は、原則として取引ごとの個別発行が求められます。無効なe-Invoiceの発行等については、所得税法第82C条に基づき、1件あたりRM200〜RM20,000の罰金等が科される可能性があります。(補足)年商RM100万未満の事業者は恒久的に免除されています。また、年商RM100万〜500万の層(第4波)については、適用開始が延期されています。
日系企業への影響
本制度は、マレーシアで事業を行う多くの日系企業が対象となる可能性があります。特に、親会社が年商RM100万超に該当する場合、その関連会社・子会社は自社の規模にかかわらず対象となり得るため、グループ内の各法人について対象該当性を確認することが重要です。実務対応としては、会計・請求システムのMyInvois連携、証憑管理フローの整備、およびSSTとの二重発行の要否の整理を早めに進めることが望まれます。開始後6か月間の緩和期間を活用し、本格運用の開始前に社内体制を整えておくことが、実務上のポイントといえます。【補足】SST登録事業者における税インボイスとe-Invoiceの実務対応e-Invoiceと税インボイス(Tax Invoice)は、それぞれ根拠法・所管官庁の異なる別個の制度であり、一方が他方を代替するものではありません。SST登録事業者においては、この点を踏まえた実務対応が必要となります。① 2つは別制度である(根拠法・所管の違い)税インボイス(Tax Invoice)は、SST(売上・サービス税)の書類であり、Sales Tax Act 2018/Service Tax Act 2018を根拠として、関税局(RMCD)が所管します。一方、e-Invoiceは所得税法1967を根拠とし、内国歳入庁(LHDN)が所管する、MyInvoisで電子検証される取引記録です。目的(間接税/所得税行政)も所管官庁も異なります。② 同一取引で「両要件」を満たす必要があるSST登録があり、かつe-Invoiceの売上閾値以上に該当する事業者は、同一の取引についてSST上の税インボイス要件とe-Invoice要件の双方を満たす必要があります。e-Invoiceを発行してもSSTの税インボイス義務は満たされず、その逆も同様です。③ ただし「1枚で兼用」できる余地がある物理的に2種類の書類を別々に作成する必要は必ずしもありません。LHDNのガイドライン上、検証済みe-Invoiceの視覚表示(PDF等)にSST法令が求める記載事項がすべて含まれている場合には、同じ視覚表示をSST目的にも使用することが認められています。したがって、e-InvoiceのテンプレートにSST必須項目(SST登録番号、税率、税額、課税対象額など)を織り込んでおくことで、1つの検証済みe-Invoiceにより両要件を同時に満たすことが可能です。④ フォーマット・検証の違い税インボイス(SST)は、紙・PDF・任意のデジタル形式で足り、政府による検証は不要です。これに対しe-Invoiceは、MyInvoisでの政府検証(validation)が必須であり、検証後にIRBMの識別番号やQRコードが付与されます。⑤ 実務対応のポイント(まとめ)
- まず自社および取引先のSST登録の有無を確認する。
- SST登録がある場合、請求システムのe-InvoiceテンプレートにSST必須記載事項を含め、1枚で両要件を充足できる状態にしておく。
- 会計・請求システムのMyInvois連携時に、これらの記載項目の設計を漏らさないようにする。
- 輸出入取引がある場合、通関時にe-Invoiceが求められるため、貿易実務への影響にも留意する。
東京コンサルティングファーム マレーシア拠点
長山毅大