中国会社設立・登記
目次
日系企業の中国への進出と設立形態
日系企業の中国進出には、現地法人、支店、駐在員事務所の3つの主要な形態があります。
2020年の「外商投資法」施行により、かつての「独資・合弁・合作(三資企業)」という枠組みは撤廃され、現在は中国国内企業と同じ「会社法」に統一されています。これにより外資企業も国内企業と同等の権利を持つ「内国民待遇」が基本となりました。
- 独資企業: 外国企業が100%出資する形態です。親会社が経営権を完全に掌握できるため、迅速な意思決定が可能であり、独自のスピード感を維持した経営が期待できます。
- 合弁企業: 中国企業との共同出資です。特殊なライセンスが必要な業種で有効ですが、ガバナンス(最高権力機関の株主総会への移行など)において最新の会社法への準拠が求められます。
- 支店: 現在、銀行業や保険業を除き、製造業などでの設立は実務上困難です。
駐在員事務所: 市場調査や連絡業務を目的とした「スモールスタート」に選ばれますが、営利活動は一切禁止されています。
中国の現地法人設立について
【独資企業】
独資企業とは、中国側の出資はゼロで100%外国企業が出資し設立する形態です。親会社が経営権を100%持つため、迅速な意思決定ができ、費用や時間などの負担や摩擦を最も抑えられる進出方法です。
独資企業の設立について、奨励、制限等に当てはまる具体的な業種は外商投資方向指導規定および外商産業指導目録に定められています。
独資企業での設立は1990年より増加し、2010年の外国投資者の直接投資は件数で80%、金額で74%と最も利用されている進出形態です。
【合弁企業】
合弁企業(中外合資経営企業)とは、中国政府により認可された外国側出資者と中国側出資者が、国内販売や営業許可など商権を持つ中国企業との共同出資で有限会社を設立する形態を指します。登録資本金のうち、外国側出資者の出資比率は原則として25%以上です。
合弁企業は比較的容易な進出形態であり、多く採用されていましたが、1998年以降は独資企業の設立が逆転し、2010年の外国投資者の直接投資は件数で18%、金額は21%と2番目に利用されている形態です。つまり、2010年の外国投資者の直接投資は、独資企業と合弁企業の二形態で件数98%、金額95%となります。
【合作企業】
合作企業は、中国側の出資と外国側の出資の両方により設立される点は合弁企業と同じですが、出資比率に関わらず、出資者間で責任の分担および収益の分配などを約定するものです。これは華僑が通常利用する形態であり、いわゆる「のれん分け」のことです。小規模でパートナーを組みサービス業に従事する場合、単純な投資案件として土地を利用させてもらう実質的独資型経営の場合に有効な形態です。法律上、出資者は無限責任となります。法人型(法人格を持つ)合作企業の外国側当事者は最低出資比率が25%に制限されています。
【外商投資株式会社】
外商投資株式会社(外資株式会社)とは、外国企業と中国企業が中国国内において共同して設立する形態です(外商投資株式会社設立の若干問題に関する暫定規定、1995年1月公布・施行ならびに上場会社の外商投資に関わる関連問題の若干意見、2001年10月公表)。当該規定では、組織機構、株式発行、上場等の具体的な規定がないため、一般法である会社法、証券法等が適用されます。
中国国内外での株式上場、社債発行等の手段により高額の資金調達が可能になりますが、暫定規定には厳しい条件があるため、これらの手段を利用する例は極めて少ないのが現状です。
中国の駐在員事務所設立について
駐在員事務所の中国語表記は「外国企業常駐代表機構」、駐在員事務所長の中国語表記は「首席代表」です。駐在員事務所では本社のために情報収集、連絡業務、市場調査等の補助的・準備的業務を行うことができます。
日本企業が中国に進出する最初のステップとして、駐在員事務所を設立することが考えられます。中国における外国企業の駐在員事務所は、中国の国内において直接的営業活動以外の活動に従事し、当該企業を代表してその経営範囲内の業務連絡、製品紹介、市場の調査研究および技術交流などを行うことができます。
中国の支店・分公司設立について
【国外法人の支店】
国外法人の支店とは営業所または役務提供場所を指します。中国では、支店は法人格を有さないものとされ、国外法人が中国国内の支店を設立する場合には法律上の制限(2005年10月改正会社法)があり、支店の審査認可の方法は国務院が別途定めています。支店設立の明確な規定がないため、実務上では外国の銀行および保険会社以外の支店設立は困難な状況です。支店設立時には主管機関または審査許可期間の認可と、国家工商行政管理局の登記を行う必要があります。
【現地法人の分公司】
中国国内の現地法人が設立する拠点を分公司といいます。分公司は、認可された経営範囲内で経営活動を行うことができます。しかし企業法人格は有していないため、分公司は単独では対外的責任を負うことはなく、すべての責任は本社が負います。
【投資性公司】
現地法人の一種として、投資性公司(投資性会社)があります。投資性公司とは、中国において外国投資者が独資または中国の投資家との合弁形式で設立した直接投資に従事する有限責任会社をいい、傘型会社とも呼ばれます。投資性公司の投資により設立された企業は外商投資企業とみなされ、中華人民共和国商務部より外商投資企業批准証書が、また国家工商行政管理局より外商投資企業営業許可証が公布されます。
中国の三資企業(独資・合弁・合作)の手続き
三資企業(独資企業、合弁企業、合作企業)の設立手続はいずれの形態もほぼ同じです。ただし、依拠する法律が異なります。
合併企業(中国国内経済組織と外国経済組織の共同出資によって設立された有限責任会社)、合作企業を設立する場合、原則として外国側投資者による投資プロジェクトの確認、中国側パートナー選定、合併・合作協議書の締結による申請を行ってから、独資企業と同様の設立手続を行います。
また、中国での会社設立には、日本側での準備と現地での厳格な登記手続きが必要です。
- 日本側での準備: 商号(中国語表記が必須)、機関設計、資本金額、登記住所を決定します。出資者資格証明の公証・認証などの書類整備も並行します。
- 現地での登記手続き:
- 名称登記: 類似商号がないか仮登録を行います。
- オンライン報告: 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」外の業種であれば、従来の「許可」制ではなく、商務部門への**オンライン報告(届出)**で進められます。
- 営業ライセンス取得: 工商行政管理局にて「営業執照」を取得します。
- 公章(会社印)の作成: 公安局の許可を得て作成します。
- 銀行口座・外為管理: 外貨管理局での登記を経て、資本金注入のための口座を開設します。
【重要:2024年改正会社法の留意点】 最新の改正により、会社登記から5年以内に登録資本金の全額払込が義務化されました。従来の「数十年後の払込設定」は認められなくなったため、資金計画には特に注意が必要です。
審査機関の批准を受けたのち、申請者は認可証書を取得した日から90日以内に、認可証書に基づき、合併企業、合作企業の各所在地の工商局で登記手続を行わなければなりません。

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