過少資本税制とは

皆さん、こんにちは。東京税理士法人です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「過少資本税制とは」についてお話していこうと思います。


過少資本税制とは 

今回は過少資本税制について説明します。

過少資本税制の概要

過少資本税制は、企業が負債を過剰に利用し、税負担を不当に軽減することを制限する税制です。企業は資金調達に自己資本と負債を利用しますが、負債に対する利息は税務上の経費として控除できるため、特に多国籍企業は負債比率を高めることで課税所得を圧縮し、利益を他国へ移転させる行為を行いがちです。過少資本税制は、これを防ぎ、各国の税基盤を守るために導入されており、OECDのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの行動4により、国際的にもその重要性が高まっています。

OECDのBEPS行動4

国際的には、OECDのBEPS行動4が標準的な枠組みを提供しています。この行動4では、利息控除の上限を企業のEBITDAの30%とすることが推奨されており、企業が関連会社を通じて利息支払を操作し、税率の低い国へ利益を移転させる行為を防止する狙いがあります。特定の産業や中小企業には例外措置が認められる一方で、多国籍企業グループ全体での負債比率も考慮され、過剰な負債を利用した利益移転が制限されるよう設計されています。

日本および各国の対応

日本では、法人税法に基づき、外国関係会社からの負債が自己資本の3倍を超える場合、超過部分の利息控除が制限されます。これにより、国内企業が関連会社間取引を通じて過剰な負債を利用し、利益を移転させる行為が抑制されています。

アメリカでも、税制改革の一環として過少資本税制に類似したルールが導入されました。アメリカの場合、企業のEBITDA(利息、税金、減価償却前利益)の30%を超える利息控除が制限されるため、負債を利用した利益圧縮が難しくなっています。EUでは税制回避防止指令(ATAD)に基づき、加盟国で利息控除の制限が統一的に導入され、多国籍企業がEU内で利益を移転することが制限されています。

過少資本税制に対する注意点

企業が過少資本税制の影響を受けないためには、適切な負債比率を維持し、各国の税制に応じた資金調達戦略を立てることが重要です。特に、関連会社間取引やグローバルな資金移動がある場合、移転価格の設定や利息控除の制限に注意を払い、税務コンプライアンスの強化が求められます。税制の変更に迅速に対応するため、専門家の助言を得ながら対応することが推奨されます。

当社では、過少資本税制をはじめとして、国際税務に関する専門的なサポートを提供しております。この記事に対するご質問や、その他国内税務・国際税務に関して何かご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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