外国子会社合算税制のリスクと対策をわかりやすく解説!

皆さん、こんにちは。東京税理士法人です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「外国子会社合算税制の概要」についてお話していこうと思います。


1.外国子会社合算税制の概要

今回は外国子会社合算税制、いわゆる「タックスヘイブン対策税制」について説明します。

そもそも外国子会社合算税制とは?

外国子会社税制とは、日本より法人税率が低い外国に子会社を設立し、そこを利用して日本国内の法人税負担を回避しようとする会社に対処するため、その海外子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して課税する制度です。

合算税制対象の子会社の範囲は?

それでは、合算税制についてどこまでの海外子会社が適用範囲となるのか確認しましょう。

会社単位の合算課税が必要なケース
① 外国子会社が外国関係会社(※1)に該当し、ペーパーカンパニー(※2)・キャッシュボックス(※3)・ブラックリスト国(※4)のいずれかに該当し、会社単位の租税負担割合が27%未満の会社
② 外国子会社が外国関係会社に該当し、4つの経済活動基準(※5)のいずれかを満たさず、会社単位の租税負担割合が20%未満の会社

※1 内国法人等が合計で50%超の議決権の保有又は実質的に支配していると
みられる外国法人
※2 実体基準(主要な事業を行うに必要と認められる固定的施設を有している会社)と
管理支配基準(本店所在地国において主たる事業の管理支配及び運営を自ら行っている会社)のいずれにも該当しない会社
※3 期末総資産の帳簿価額に対する一定の受動的所得割合が30%超であり、かつ
期末総資産の帳簿価額に対する一定の資産割合が50%超であること
※4 租税の情報交換への協力が著しく不十分な国等として財務大臣が告示したリスト
※5 ①事業基準:主たる事業が株式の保有、無形資産の提供、船舶・航空機リース等でないこと
②実態基準:本店所在地国においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所
店舗、工場その他の固定施設を有していること
③管理支配基準:本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること
④所在地国基準:主として本店所在国で事業を行っていること、又は
非関連者基準:主として関連者以外の者と取引を行っていること

一定の受動的所得が所得に合算されるケース(部分合算課税)
外国子会社が外国関係会社に該当し、4つの経済活動基準の全てを満たし、
会社単位の租税負担割合が20%未満の会社

対象外
上記に該当しない外国子会社

以上が外国子会社合算税制の概要です。

タックスヘイブンについては2017年税制改正により、対象となる海外子会社や課税対象範囲が拡大したため、その判定にかかる事務負担や課税リスクが増大していますので、随時留意しておくことが必要です。

2.外国子会社合算税制に関する注意点

外国子会社合算税制(CFC税制)は、タックスヘイブン対策として、多国籍企業が低税率国に設立した外国子会社を通じた利益移転や課税逃れを防ぐための制度です。この制度を正しく理解する事が、海外進出をする際の思わぬリスクの回避に繋がります。

実態のある事業活動を証明すること

CFC税制には「実体基準」があり、外国子会社が現地で実態のある事業活動を行っている場合、課税が免除される可能性があります。この免除を受けるためには、外国子会社が実際にオフィスを持ち、従業員を雇用し、現地で商品やサービスの生産・提供を行っていること、ペーパー・カンパニーでないことを証明する必要があります。取引記録、契約書、事業報告書などを整備し、税務当局からの質問に対して適切に対応できるように準備しておくことが不可欠です。

受動的所得の管理

CFC税制は、特に受動的所得(利息、配当、ロイヤリティなど)に対して厳しく適用されます。受動的所得は、現地での事業活動に関係なく、比較的容易に移転可能であり、租税回避の手段として利用されやすいためです。受動的所得の比率を適切に管理し、事業所得とのバランスを考慮することが求められます。

適切なレポーティングと情報開示の徹底

CFC税制に関連する税務コンプライアンスを守るためには、外国子会社に関する情報を正確に報告する義務があります。この報告が不適切であったり、虚偽の申告が行われた場合、過少申告加算税や延滞税が課されるリスクがあるため、報告の正確性を保つことが重要です。

このように、外国子会社合算税制に対応するためには、租税負担割合や事業の実態、受動的所得の管理、レポーティング義務など、複数の側面からリスク管理を徹底することが求められます。その他にも、海外進出の際には国際的な税務のリスクが生じます。

タックスヘイブン税制だけでなく、国際税務は現在、全体的に制度の見直し、改訂がされている状況でありますので、何か国際税務に関するお問い合わせ等あれば、是非お気軽にお問い合わせください。


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