経理が回らない会社の共通点 ~人手不足の本当の原因は「採用」ではなかった~

皆さん、こんにちは。東京税理士法人です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「経理が回らない会社の共通点 ~人手不足の本当の原因は「採用」ではなかった~ 」についてお話していこうと思います。


1.「経理が足りない」という経営者の共通の悩み

「経理の人が足りない。」
「担当者が辞めてしまい、仕事が回らない。」
「採用を出しても応募が来ない。」

最近、多くの経営者がこのような悩みを抱えているのではないでしょうか。

人口減少が進む日本では、人手不足は多くの業界で避けられない問題になっています。特にバックオフィス業務は、営業や技術職と比べて人材の母数が少なく、採用市場でも難易度が高い職種の一つです。
そのため、経理の人材が確保できず、現場の負担が増え続けている企業は少なくありません。中小企業では、そもそも経理専門職としてキャリアを積みたい人材が限られていることもあり、採用活動をしても応募自体がほとんど来ないというケースも珍しくありません。

さらに問題なのは、経理人材は単に人数を増やせばよいという仕事ではないという点です。会社の会計処理には一定の専門性が必要であり、経験が浅い人材を採用してもすぐに戦力になるとは限りません。むしろ教育や引き継ぎに時間がかかり、既存の担当者の負担が増えてしまうこともあります。その結果、現場はさらに忙しくなり、悪循環に陥ることになります。

しかし、実際に企業の経理現場を見ていると、「本当に人が足りないのか」という疑問を持つケースも多くあります。担当者を増やしても忙しさが変わらない。新しい人を採用しても業務が回らない。担当者が辞めると、経理が止まってしまう。このような状態が続いている企業では、問題の本質は単純な人手不足ではなく、経理業務の構造そのものにある場合が多いのです。つまり、人手不足という現象の裏側には、経理業務の設計ができていないという構造的な問題が潜んでいるケースが少なくありません。

 

2.経理業務が属人化すると人手不足になる

多くの企業の経理は、特定の担当者に依存しています。仕訳のルールは担当者の経験に依存し、決算資料は個人のパソコンに保存され、毎月の処理方法も「前任者のやり方」をそのまま踏襲しているだけというケースが少なくありません。このような状態は決して珍しいものではなく、中小企業ではむしろ一般的な姿と言えるでしょう。
長年同じ担当者が経理を担当している会社ほど、この傾向は強くなります。担当者自身も日々の業務をこなすことに追われているため、業務を整理したり標準化したりする時間を取ることができず、結果として属人化が固定化してしまうのです。

しかし、こうした属人化した経理体制は、構造的に人手不足を生み出します。
なぜなら、業務が「人」に紐づいているため、その人がいなくなった瞬間に業務が止まるからです。引き継ぎがうまくいかず、新しく入った人も仕事を覚えるまでに時間がかかる。処理の意味が分からず、過去のデータを探しながら作業するしかない。その結果、同じ作業をするにも何倍もの時間がかかるようになります。

さらに、属人化した業務は改善が進まないという問題もあります。業務の手順が文書化されていないため、どこが非効率なのかが見えないのです。
その結果、同じやり方が何年も続き、業務量だけが増えていきます。こうして現場の負担がさらに増え、「やはり人が足りない」という結論になってしまいます。実際には人が足りないのではなく、業務が仕組み化されていないことが問題なのです。

 

3.ITを入れても経理は楽にならない理由

経理の人手不足を解決するため、多くの企業がITツールの導入を進めています。クラウド会計、経費精算システム、請求書管理システムなど、経理業務を効率化するツールは年々増えています。政府もDXを推進しており、「ITを導入すれば業務が効率化する」というイメージが広く浸透しています。そのため、人手不足の解決策としてまずIT導入を検討する企業は少なくありません。

しかし、ITを導入したにもかかわらず、経理の忙しさが変わらない企業も多く存在します。むしろ、システムの操作や設定に時間がかかり、現場の負担が増えてしまうケースもあります。その理由は、多くのITツールが「処理作業」しか改善しないからです。例えば、仕訳入力が自動化されたとしても、証憑が集まらない、処理ルールが統一されていない、チェック方法が決まっていないといった問題が残っていれば、結局は人が対応するしかありません。

さらに、ITを導入すると新しい業務が増えることもあります。データ連携の確認、システムの設定、エラーの修正など、従来にはなかった作業が発生することもあります。つまり、経理の構造そのものが整理されていなければ、ITを導入しても業務量は減らないのです。ITはあくまで道具であり、業務の設計ができていなければ、その効果は十分に発揮されません。

 

4.経理の人手不足は「仕組み」で解決できる

経理の人手不足を解決するためには、まず経理業務を「設計」する必要があります。業務を工程ごとに分解し、処理ルールを標準化し、誰がやっても同じ結果になる仕組みを作ることです。製造業では、工程管理や作業標準が当たり前に存在します。どの工程で何をするのかを明確にし、誰が作業しても同じ品質になるように設計されています。
しかし経理では、この発想がほとんど導入されていません。そのため、業務は担当者の経験や勘に依存する形になり、属人化が進んでしまいます。

経理を工程として整理すると、作業は「資料収集」「処理」「チェック」「報告」といったプロセスに分けることができます。例えば、請求書や領収書を集める作業、仕訳を入力する作業、内容を確認する作業、月次報告を作成する作業といった形です。このプロセスごとに役割とルールを明確にすれば、特定の担当者に依存しない経理体制を構築することができます。

さらに、工程ごとに責任者を設定し、作業手順を文書化していけば、新しく入った人でも比較的短期間で業務を理解できるようになります。業務の見える化が進めば、どこに無駄があるのかも把握しやすくなり、改善も進みます。結果として業務の効率が上がり、少ない人数でも経理を回せるようになります。つまり、人手不足を解決するためには、まず仕事の構造そのものを見直すことが必要なのです。

5.これからの経理と「経営参謀型税理士」

本来、経理の役割は単に帳簿をつけることではありません。経営の意思決定に必要な数字を提供することこそが、本来の役割です。
今月の利益はどうなっているのか。資金繰りはいつまで持つのか。どの事業が利益を生んでいるのか。こうした情報を迅速に把握できれば、経営判断の質は大きく向上します。数字をもとに経営を考えることができれば、企業の成長スピードも変わってきます。

しかし、日々の処理に追われている状態では、このような役割を果たすことはできません。多くの経理担当者は、日常業務に追われ、経営分析や将来の数字を考える余裕がありません。結果として、経理は単なる事務処理部門として扱われ、経営に活用されないままになってしまいます。

多くの企業では、こうした経理の仕組みを社内だけで構築することが難しいのが現実です。経理の改善は単なる事務効率化ではなく、経営管理の設計そのものだからです。財務の構造を理解し、経営の数字と業務プロセスを結びつけて設計する必要があります。

私たちは、このような役割を果たす税理士を「経営参謀型税理士」と呼んでいます。税務申告を行うだけではなく、経理の仕組みを整え、経営の数字を見える化し、経営者の意思決定を支える存在です。
人口減少が進むこれからの時代、人を増やして問題を解決することは難しくなります。 必要なのは、人を増やすことではなく、仕事の構造を変えることです。

もし今、経理の人手不足で悩んでいるのであれば、採用の前に一度、経理業務の仕組みそのものを見直してみてはいかがでしょうか。 それが会社の経営を変える第一歩になるかもしれません。

 

 

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