プライバシーの侵害?従業員の個人情報の取扱注意!

一つ、最新のニュースをお伝えします。

「Stricter rules to protect NRIC data from next Sept」

 

2018年8月31日、シンガポールの最有力新聞社The Straight Timesの一面を飾ったニュースですが、これだけでどんな内容かお判りでしょうか。

そう、こちらはNRIC、つまりシンガポール国籍または永住権保持者の身分証カードに関する、個人情報取扱のニュースです。

 

今回は、企業の個人情報取扱について、お伝えします。

 

個人情報の範囲

 

まず、問題となる個人情報の範囲を確認しましょう。

 

・氏名

・身分証(NRIC、パスポート番号)

・写真、動画など個人を特定できる画像

・携帯電話番号、メールアドレス

・指紋

・住所

 

その他、シンガポールで問題となる個人情報の範囲で特徴的なのは、クッキーなど昨今のテクノロジーで収集が可能となった、以下のような個人データが個人情報とされる点です。

 

・健康状態

・学歴、職歴

・消費傾向などの活動履歴

 

ニュースの内容

 

次に、今回のニュースの内容をおさらいしておきましょう。

 

「来年(2019年)9月1日から、NRIC番号の収集、開示、カードのコピーが違法となる」という見出しのこの記事は、以下のような必要な場合を除いて、シンガポールではこれまでのように身分証の提示を求め、コピーを取り、またはNRICを書類に記載させることが禁止になるという内容です。

 

・携帯電話契約への加入

・病院・セラピーの予約

・ホテルのチェックイン

・教育機関への入学

・企業への就職

・保険・健康・財務・不動産関連のサービス加入

・その他、NRICの取得を行わないことがリスクを伴う場合

 

罰金は最大で100万シンガポールドル、日本円にして約8千万円と非常に高額に上る可能性があります。

 

上記必要な場合の中には企業への就職も含まれており、会社がNRICを要求することにはこれまで通り問題はないとも解釈できますが、少なくともこれまでのように個人宛ての書類に逐一NRICを記載するというような慣行が、来年以降は許されなくなる見込みです。

 

どんな対策をすればいい?

 

もし、個人または会社が上記の個人情報を収集して統計データ作成やマーケティング活動を行っているのであれば、今後は最大限の注意が必要になります。

 

下記、PDPA(Personal Data Protection Act)を熟読し、専門のコンサルティングを受けることも検討が必要でしょう→kondo.takamasa@tokyoconsultinggroup.com

 

それ以外の一般の企業に求められるのは、従業員を雇用する場合も、顧客の情報を収集する場合も、以下二つの必要事項に対応することです。

 

1.NRICなど個人情報を収集し、個人を特定する必要があることを示すこと

2.PDPA(個人情報保護法)に従い、適切に個人情報を管理することを示すこと

 

以下リンクから参照できるガイドラインによれば、企業が従業員を雇用する場合、申し込み(Job Application)の段階ではNRICを要求せず、雇用法(Employment Act)により従業員情報を利用する必要がある場合に限ってNRIC番号を回収、利用するべきだとされています。

クリックしてAdvisory-Guidelines-for-NRIC-Numbers—310818.pdfにアクセス

 

採用面接などを終え、最終的に雇用契約を締結する際に、個人情報として保護されることを確認したうえでNRIC番号を記入させ、確認のためにカードの提示を求める、ということは許容される見込みです。

 

PDPAのコンプライアンスって?

 

最後に、まだ耳慣れない方も多いと思われるシンガポール個人情報保護法、PDPAの要求事項についてご紹介しましょう。

 

この法律では、個人が特定されうる情報を個人情報と位置付けたうえでその適切な扱いとして、主に以下の項目を明示するよう各企業に要求しています。

 

・同意(Consent):該当の個人から、どのように利用されるか了解したうえで同意を得ること

・目的(Purpose):どのような使途で個人情報の回収、使用、開示を行うか通知した上で、状況に即した適切な方法で回収、使用、開示を行うこと

・合理性(Reasonableness):個人情報の回収、使用、開示が理にかなっており、適切だと判断される目的でのみなされること

 

またPDPAでは、特に電話営業(Telemarketing)において、「Do Not Call Registration(受信拒否登録)」のリストに載っている個人の電話番号に宣伝目的の架電、SMS送信などを行うことを禁じ、オンラインでの簡易な登録制度や罰金を設けていることにも注意が必要です。

 

 

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