シンガポールの雇用法について

労務

 

今回はシンガポールの雇用法についてお話します。

 

シンガポールの雇用法は、労働者の解雇、給与の支払、労使間の権利義務の明確化など、労働者の一般的な労働条件が制定されています。直近では2019年4月に法改正が行われましたが、今後も雇用法の改正が予定されています。昨今の賃金上昇等を踏まえ、時間外労働に対する手当が発生する労働者の適用範囲の変更など、労働者保護の性質が強まっています。

 

シンガポールの雇用法の特徴として注意しなければならないことは、シンガポール雇用法の適用範囲が内容により異なるという点です。主に賃金と職種、会社の経営者か否かといった基準によって、雇用法各項の適用範囲内か範囲外かが定められており、範囲外に該当する労働者については、時間外労働に対する手当や休日労働に対する手当、有給の付与などが適用されないこともあります。こうした雇用法各項の範囲外に該当する労働者を雇用する場合には、会社と労働者間で個別に契約書を作成し、細かく取り決めをする必要があります。

 

また、雇用法適用の有無は「雇用関係」が基準となります。雇用法では「雇用関係」にある者か、それともIndependent Contractor(独立請負人)であるため雇用関係にない者か、といった形で大別され、後者のIndependent Contractorの場合は単なるサービス契約にすぎないため、雇用関係がなく雇用法の適用はありません。

 

しかし、雇用関係がある者でも、次の労働者については適用除外となります。
・ 船員(Seafarer)
・ 家事ヘルパー(Domestic worker)
・ 公務員(Statutory board employee or civil servant)
ここには、別個にその就業条件を定めた法律が存在しているために、一般的な規定である雇用法が適用されない、という事情があります。

 

 

■労働時間

 

原則シンガポールの1日の法定労働時間は8時間まで、週の法定労働時間は44時間までとされています。連続6時間を超えて仕事をする場合には、会社は必ず休憩時間を設けなければなりません。ただし、週の労働日数が5日の場合には、1日の労働時間を9時間まで延長することができます。その場合であっても週の法定労働時間は変わらず44時間とされています。

上記の1日の法定労働時間または週の法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合、労働時間の規定が適用される従業員に関しては、割増賃金として最低でも基本賃金の1.5倍の金額を残業時間ごとに支払う必要があります。

 

■休日

 

労働時間の規定が適用される従業員に関しては、会社は少なくとも1週間に1日、休日を与えなければなりません。法定休日はRest Dayと呼ばれ、日曜日に設定されているケースが多く見られますが、従業員ごと、別の曜日に設定することも可能です。シンガポールは日本と同様、週休2日制を取っている会社が多く、この場合、法定休日以外の休日については、Non Working DayないしOff Dayと呼ばれ、法定休日であるRest Dayと明確に区別されています。
法定休日であるRest Dayに労働者を働かせた場合には、会社は割増賃金として通常の賃金の2倍の金額を支払わなければならないとされています。しかし、Non Working DayもしくはOff Dayに労働者を働かせた場合には、時間外労働と同様の取扱と定められておりますので、会社は割増賃金として通常の賃金の1.5倍の金額を支払えばよいことになります。

 

以上、お読みいただきありがとうございました。

なお、本記事は2019年9月時点の内容となっております。最新情報やより詳細な情報は弊社サービスのWiki Investmentをご利用頂きたいと思います。Wiki Investmentへの登録は、下記のリンクからお願い致します。

 

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